1998 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス誘導機構を介する骨髄異形成症候群発症および白血病化の分子解析
Project/Area Number |
10470214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
加藤 規子 関西医科大学, 医学部, 助手 (10252785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 資郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (40142301)
岸本 裕司 関西医科大学, 医学部, 講師 (70204857)
川村 真代 関西医科大学, 医学部, 助手 (00298853)
加藤 順也 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス科, 助教授 (00273839)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / NPM-MLF1キメラ遺伝子 / t(3;5)転座 / アポトーシス誘導 / アポトーシス関連遺伝子群 / 白血病移行 / 多段階発がん |
Research Abstract |
MDS発症におけるt(3;5)転座原因遺伝子NPM-MLF1を介したアボトーシスの誘導機構、および次段階としてのAML発症機構について、その機能解析から以下の諸点を明らかにした。 1. 未分化骨髄細胞株およびマウス線維芽細胞株へのNPM-MLF1導入発現は、分化を阻止しアポトーシスによる細胞死を誘導する。 2. NPM-MLF1機能ドメインの同定と細胞内局在:NPM-MLF1には少なくとも以下の三つの機能ドメインが存在し、(1)MLF1N端に相当する部位(2)キメラ遺伝子NPM部位C端に相当する核局在シグナル(NLS)を含む部位(3)二量体形成に必要なNPMのN端部位があり、(1)(2)はアポトーシス誘導に必須、(3)は誘導能を増強させることが解った。また(2)のNLSを含むアミノ酸配列によりアポトーシス誘導能を有す変異体はすべて核に局在した。 3. Bcl-2共発現による細胞死の回避:Bcl-2をNIH3T3に共発現させると、NPM-MLF1の発現量や局在には全く変化がないにもかかわらず細胞死は救済され、かつ細胞はS期に入りうることが解った。Bcl-2単独ではS期には入り得ないことから、共発現により初めて増殖傾向を獲得するものと思われた。 4. two-hybrid systemによりMLF1と相互作用する蛋白遺伝子として少なくとも4種類(仮称MIP1〜4)を同定単離しており、解析を進めている。 本研究での所見は、NPM-MLF1蛋白は細胞分化を細胞死誘導により阻害することによりMDSという無効造血状態を引き起こし、さらなる付加的異常を伴って細胞をがん化に導く多段階発がん機構の一端を示唆し、トランスジェニックマウスによる検証も必要である。
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Research Products
(1 results)