2000 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモン受容体機能を修飾する補助因子、共役因子の機能に関する研究
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10470226
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308)
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Keywords | 甲状腺ホルモン受容体 / 共役因子 / ドミナントネガティブ作用 / コリプレッサー / コアクチベーター / RXRα / NF-κB |
Research Abstract |
1.TNFαによるTH作用の修飾:Euthyroid sick syndromeは、敗血症、癌患者に認められ、血中T3の低下を伴うことが知られ、この原因として肝臓におけるT4からT3への転換を触媒する5′-deiodinase(5-′DI)活性の低下が示されている。また、これら患者においてはTNFαの血中レベルの上昇が認められることが多い。5-′DI遺伝子の発現はT3により誘導されることが知られているため、本研究では、TNFαがT3依存性の5-′D遺伝子発現誘導に及ぼす影響を検討した。その結果、TNFαが転写因子NF-κBの活性化を介して肝臓における甲状腺ホルモン依存性の5′-脱ヨード酵素の発現誘導を抑制することを明らかにした。この結果はTNFαが上昇する疾患を有する患者が呈するeuthyroid sick syndromeの発症機序を初めて明らかにしたものである。 2.α型甲状腺ホルモン受容体遺伝子ノックアウトマウスにおける甲状腺ホルモン作用:甲状腺ホルモン受容体(TR)はα,β2つの遺伝子によりコードされる。TRα遺伝子からはalternative splicingによりT3結合能を有するTRα1とTRα2が産生され、更にintron 7に存在するプロモーターからアミノ端を欠くTRΔα1、TRΔα2がコードされる。これまでT3結合能を持たないTRα2、TRΔα1、TRΔα2は培養細胞を用いた系でTRに対し、ドミナントネガティブ作用を発揮することが示されている。本研究では、exon 7及びintron 7に存在するプロモーター領域を破壊することによりTRα遺伝子産物の発現を全て抑制したノックアウトマウスを用い、種々の臓器での甲状腺ホルモン(TH)に対する応答性を検討した。その結果、下垂体、肝臓など主としてTRβを発現している臓器では、TH作用の増強が認められ、TRα2、TRΔα1、TRΔα2の欠如によるドミナントネガティブ作用発現の欠如がこの原因と考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Macchia PE,Takeuchi Y et al.Seo H, et al.Refetoff S.: "Increased sinsitivity to thyroid hormone in mich with complete deficiency of thyroid hormone recpetor alpha."Proceedings of National Academy of Science, U.S.A.. 98(1). 349-354 (2001)
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[Publications] Nagaya T,Fujieda M, et al.,Okamoto T, Seo H: "A Potential role of activated NF-κB in the pathogenesis of euthyroid sick syndrome."Journal of Clinical Investigation. 106(3). 393-402 (2000)
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[Publications] Iseki A,Kambe F,Okumura K,Hayakawa T,Seo H.: "Regulation of thyroid follicular cell function by intracellular redox-active copper."Endocrinology. 141(12). 4373-4382 (2000)
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[Publications] Iseki A,Kambe F,Okumura K, et al,Hayakawa T,Seo H.: "Pyrrolidine dithiocarbamate inhibits TNF-α-dependent activation of NF-κB by increasing intracellular copper level in human aortic smooth muscle cells."Biochemical and Biophysical Research Communications. 276. 88-92 (2000)
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[Publications] 妹尾久雄: "遺伝子治療・・基礎から応用まで 動物遺伝子の構造と発現調節"名古屋大学出版会(編集:斉藤英彦,吉田純). 8 (2000)
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[Publications] 妹尾久雄: "標準生理学 甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモン"医学書院(監修:本郷利憲,廣重力). 15 (2000)