肥満糖尿病発症に関わる中枢性制御系因子の解明とその治療的応用への試策

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10470233
• Research Institution: 大分医科大学
• Principal Investigator: 坂田 利家 大分医科大学, 医学部, 教授 (50037420)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 浜口 和之 大分医科大学, 医学部, 講師 (60180931) ; 吉松 博信 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00166993)
• Keywords: ヒスタミン / レプチン / ヒスタミン受容体1ノックアウトマウス / db / dbマウス / UCP / エネルギー代謝調節 / 肥満糖尿病 / 内臓脂肪

Research Abstract

我々は、これまで、神経ヒスタミシがレプチンの視床下部におけるターゲットの一つとして、その食行動とエネルギー代謝の中枢性調節に深く関与していることを証明してきた。今年度は、ヒスタミン受容体1ノックアウト(H1KO)マウスを使用して、レプチンーヒスタミン神経系の末梢エネルギー代謝調節に及ぼす影響を確認した。H1KOマウスでは、NPYやPOMCといった神経ペプチド、脂肪組織でのobとUCP familyの発現には差を認めなかったが、高脂肪食を負荷すると、脂肪蓄積の有意な増加を認めた。またH1KOマウスでは、レプチン投与による摂食抑制効果が半減しているとともに、脂肪組織でのUCPの発現増加も抑制されていた。このことは、ヒスタミン神経系がレプチンシグナルの下流で、その摂食とエネルギー代謝調節の一角を確かに担っていることを示している。続いて、我々は、レプチンシグナルの欠損した肥満糖尿病モデル動物を使用し、レプチンシグナル欠如下で、ヒスタミン神経系を作動させたときの影響を検討した。レプチン受容体異常のdb/dbマウスにヒスタミンを投与すると、その摂食量は明らかに低下した。ヒスタミン投与群の体重は、摂食量をpair fedした群よりも低く、ヒスタミン神経系の駆動は、摂食量の低下とは独立して体重を減少させることがわかった。蓄積脂肪は、皮下脂肪では差は認めなかったが、内臓脂肪において、ヒスタミン投与群はpair fed群以上に低下していた。また、ヒスタミン投与群では末梢のUCP発現が増加していた。このことは神経ヒスタミンは、レプチンシグナル欠如下でも摂食活動の抑制ばかりでなく、直接に末梢組織に作用できることを示している。さらに、ヒスタミン投与により、db/dbマウスの耐糖能障害およびインスリン抵抗性が改善することを見いだした。以上の結果は、ヒスタミシがレプチンの末梢エネルギー代謝調節に大きく寄与していることを示すものである。

Research Products

• [Publications] Masaki T, et al: "Central Infusion of Histamine Reduces Fat Accumulation and Up-regulates USP Family in Leptin Resistant Obese Mice"Diabetes. 50,. 376-384 (2001)
• [Publications] Masaki T, et al: "Targeted Disruption of Histamine H1-Receptor Attenuates Regulatory Effects of Leptin on Feeding, Adiposity and UCP Family in Mice"Diabetes. 50,. 385-391 (2001)
• [Publications] Kondou S, et al: "Molecular cloning of rat brain mitochondrial carrier protein-1 cDNA and its up-regulation during postnatal development"BBA. 1457. 182-189 (2000)
• [Publications] Masaki T, et al: "mpaired response of UCP family to cold exposure in diabetic (db/db) mice"AJP. 279(4). 1305-1309 (2000)
• [Publications] Tastukawa M, et al: "Regional fat deposition in the legs is useful as a presumptive marker of antiatherogenesity in Japanese"PSEBM. 223(2). 156-162 (2000)
• [Publications] Hanada R, et al: "Differential regulation of melanin-concentrating hormone and orexin genes in the agouti-related protein/melanocortin-4 receptor system"BBRC. 5;268(1). 88-91 (2000)
• [Publications] Sakata T, et al.: "Control Mechanisms of Stress and Emotion : Neuroendocrine-Based Studies."Eds.by Yamashita H,Funder JW,Verbails JG,Ueta Y,Endo Y,Elsevier. 359 (1999)
• [Publications] Sakata T, et al.: "Progress in Obesity Research 1998"Eds.by B.Guy-Grand and G.Aihoud,John Libbey. 679 (1999)