1999 Fiscal Year Annual Research Report
癌の転移性に与える炭酸ガス気腹の影響における基礎研究
Project/Area Number |
10470244
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
北野 正剛 大分医科大学, 医学部, 教授 (90169871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂東 登志雄 大分医科大学, 医学部, 助手 (80284793)
白石 憲男 大分医科大学, 医学部, 助手 (20271132)
安達 洋祐 大分医科大学, 医学部, 講師 (90221043)
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Keywords | 癌の転移性 / 炭酸ガス気腹 |
Research Abstract |
本研究においては,癌に対する腹腔鏡下手術の利点と問題点を明らかにするため,以下のごとく,炭酸ガスの生理機能におよぼす影響と,癌の発育・増殖・進展におよぼす影響について動物実験を中心に明らかにしてきた. 1.生理機能に及ぼす炭酸ガス気腹の影響(1)全身循環動態におよぼす炭酸ガス気腹の影響を豚気腹モデルで検討した.その結果,(1)気腹による末梢血管抵抗の増大のため,静脈還流が減少すること.(2)腹腔内臓器血流が減少し代謝性アシドーシスへと傾くが,腹腔内ガス(CO2 vs Helium)で差を認めず腹腔内圧の上昇が原因と考えられること.(3)臨床研究として,気腹法とつり上げ法による腹腔鏡下胆嚢摘出術で術後の外科侵襲パラメーターを検討した.その結果,気腹下では心・腎機能の低下をもたらすことを明らかにした.(論文発表済)(2)肝・腎機能におよぼす炭酸ガス気腹の影響をラットモデルで検討した.その結果,(1)気腹下では血中Vasopressinが上昇し,乏尿へとつながるがそのAntagonist(OPC-31260)の投与で乏尿を予防できた.(2)気腹下では門脈血流が低下し,Buffer Responseとして肝動脈血流が上昇した.これは,平常時の腹腔内圧下の肝臓器血流までは復しなかった.(論文発表済)(3)全身免疫系におよぼす炭酸ガス気腹の影響について検討した.気腹下では,全身及び腹腔内の炎症性サイトカイン(IL-1beta,IL-6)の産生が一時的に抑制された 2.癌の発育・増殖・進展に及ぼす影響(1)マウス気腹モデルを確立した.(論文発表済)(2)電顕にて気腹後の腹膜中皮細胞の変化を解析(ガス・圧・時間)し,開腹後と比較検討した.(論文準備中)(3)腹膜播種に及ぼす影響では,気腹群は開腹群と同様の腹膜播種の増悪が生じた.(論文準備中)(4)マウス尾静脈静注による血行性転移モデルで,気腹群は開腹群に比べ肺転移の減少を認めた.その際,サイトカイン(IL-6,TNF-a)の変動も少なく,外科侵襲が癌の進展に重要であることを示した.(論文投稿中)(5)マウス膝リンパ節転移モデルでリンパ節転移個数・重量とも気腹群は開腹群より少なかった.(論文準備中)(6)マウス気腹モデルにおいてヒアルロン酸の腹腔内投与は,癌創転移を増強した.(論文投稿中)(7)気腹により腹腔内ヒアルロン酸の誘導が生じた.その効果は開腹後よりも気腹後のほうが高度であった.(論文投稿中)(8)マウス気腹モデルでの癌創転移はインテグリン抗体やCD44抗体により抑制された.(論文準備中)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ninomiya K.: "Comparison of pneumoperitoneum and abdominal wall lifting as to hemodynamics and surgical stress response during laparoscopic cholecystectomy"Surgical Endoscopy. 12(2). 124-128 (1998)
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[Publications] Dolgor Baatar: "Vasopressin antagonist impres renal function in a rat model of pneumoperitoneum."Journal of Surgical Research. 79(2). 109-114 (1998)
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[Publications] Toshihiro Suematsu: "Convenient Murine Pneumoperitoneal Model for the Study of Laparoscopic Cancer Surgery"Surgical Laparoscopy,Endoscopy&Percutaneous Techniques. 9(4). 279-281 (1999)