1999 Fiscal Year Annual Research Report
人工酸素運搬体を用いた腫瘍細胞酸素化による抗癌剤感受性増強に関する実験的研究
Project/Area Number |
10470247
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 敦志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276276)
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60173647)
茂松 直之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30178868)
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Keywords | 人工酸素運搬体 / 腫瘍の酸素化 / 抗癌剤感受性試験 / 感受性の増強 / 化学療法 |
Research Abstract |
ドンリュウラットにラット肺癌であるSato lung cancer(SLC)または吉田肉腫(LY-80)を移植し実験的胆癌モデルを作成した。 【腫瘍血流の定量化】ラット腫瘍モデルにおける血流の状態が、酸素化に関連していることが予想されたので新しく開発されたマイクロスフェアー法により腫瘍組織血流の定量化を行った。SLCでは移植後1週目に腫瘍血流は対肝臓比1862±475%、腫瘍重量0.53±0.21gであったが、それぞれ123±30%、12.5±5.5gと変化した。病理所見とあわせ経時的な腫瘍中心壊死による血流の低下が示唆された。同様の測定においてLY-80では比較的組織血流が保てることが判明したためLY-80による実験を施行した。 【in vivo抗癌剤感受性試験】当グループではin vivo抗癌剤感受性試験としてCD-DST法を行っているが、本実験系のSLCに対してこれを適用し、各種抗癌剤に対する感受性を測定したところMitomicine,Vindesine、Adriamycineなどの薬剤に感受性を認めたが、Vindesine、CBDCAに対しては抵抗性であることが確認された。 【人工酸素運搬体による腫瘍組織酸素分圧の変化】酸素分圧測定法としてOxyspot法(静注したパラジウムコプロポルフィリンを励起させ減衰時間より算出するもの)を用いた。人工酸素運搬体としてヘモグロビン小包体、アルブミンへム、フルオロカーボンを静脈内に投与した。コントロールとしてLactate ringer、5%アルブミンを用いた。アルブミンヘムを投与したラットでは投与30分後に30%程度の酸素分圧上昇がみられた例もあったが、全体として有意な酸素分圧上昇を示すデータは得られなかった。その原因として機能的に正常組織の血管とは異なる腫瘍血管に対して人工酸素運搬体が何らかの作用(例えばNitric oxideの捕捉など)をおこし、腫瘍血流の低下が起こった可能性などを考えている。現在その原因を解明すべく、人工酸素運搬体投与時の腫瘍血管のマイクロサーキュレーション観察を計画している。また、人工酸素運搬体および抗癌剤の腫瘍組織に対するより効果的な投与経路として動脈内注入を考えており、ラット足背に移植した腫瘍に対して大腿動脈からの人工酸素運搬体投与実験を進めている。
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Research Products
(1 results)