2000 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェント・ターゲッティングシステムを用いた難治性癌に対する遺伝子治療
Project/Area Number |
10470254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳衛 宏宣 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30212278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 助教授 (30130040)
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (00162454)
谷 憲三郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00183864)
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Keywords | Drug delivery system / Non-viral vector / Gene therapy / Tumor suppressor gene / Stealth liposome / Cationic liposome / Qplex / Chitosan |
Research Abstract |
遺伝子治療へウイルスベクターに代わる安全な非ウイルス遺伝子導入用ベクターを応用すべく開発・研究を進めた。 1)Liposomeのstelth化によるDrug delivery systemの開発:我々は、Liposomeの表面をPolyethylene glycolで修飾することにより、細綱内皮系による捕捉を回避し、血中滞留性が著しく向上するStealth liposomeを開発した。さらに、stealth liposomeの表面にTransferrinを結合させることにより、選択性を高めることができ、静脈注射後72時間後も腫瘍内^<10>Bを有効濃度に維持でき、2x10^<12>n/cm^2の熱中性子を照射し、BNCTを行うと、腫瘍特異的にColon26腫瘍の消失を認めた。 2)新規Lipoplex(Quarternary complex,Qplex)の開発:我々はCationic liposomeとplasmid DNAとの複合体いわゆLipoplexにProtamineおよびLigandとしてtransferrin(TF)を添加した4成分からなる複合体(Quarternary complex,Qplex )を開発した。Qplexの粒子径を動的光散乱法により評価すると258.6±88nmであり、Lipoplex(865±655nm)よりも粒子径が小さい均一な複合体を形成していると考えられる。plasmid DNAはβ-galactosidaseをコードしたものを用い、X-gal染色法で細胞500個あたりの発現を調べた。AsPC-1細胞において接触時間2時間では15.4%の細胞に発現が見られたのに対し、4時間では44.2%、8時間では64.7%と、時間と共に発現効率が増加した。また、Lipoplex(1.8%)およびLipoplexにprotamine(8.6%)またはTFのみを添加した複合体(2.6%)に比べて、Qplexはいずれの細胞に対しても著しく高い発現を示した(64.7%)。さらにQplexはLipoplexや他のcomplexと比較して、血清存在下で酵素活性、発現効率ともに高い値を示すことが分った。C型肝炎ウイルス細胞障害領域のplasmid DNAをQplexを用いて腫瘍細胞内に導入すると、アボトーシスを誘発し抑制効果があることが分かった。 3)Chitosanをキャリアーとした遺伝子の細胞内導入:Plasmid/Chitosan複合体において、Chitosanの分子量依存的に発現活性と細胞内への取り込み量の相関関係が確認された。分子量が40kDaのChitosanで最大の発現活性が見られた。培地中の血清濃度が10%において発現活性がより高くなることが確認され、細胞毒性が低いことが分かった。ことから、生体内での利用の可能性を示した。Plasmid/Chitosan複合体の遺伝子発現機構は、1)細胞内への取り込みはendocytosisであり、2)endosomeから細胞質への放出はバッファリング効果により複合体のままで放出され、さらに 3)複合体が核へ集積していることが確認された。Erb B-2タンパクと結合することによりTyrosine kinase signalを制御するTobタンパクをコードするtob遺伝子のplasmid DNAをChitosanを用いて腫瘍細胞内に導入すると、腫瘍増殖抑制効果を見いだし、senescene効果と考えられた。
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[Publications] H.Yanagie et al: "Tumor growth suppression by boron neutron capture therapy using PEG-liposomal boron delivery in vivo."Proceeding of 9th International Symposium on Neutron Capture Therapy for Cancer. 101-102 (2000)
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[Publications] 柳衛宏宣 他: "LPDを用いた遺伝子導入の検討"Drug Delivery System. 15・4. 347 (2000)
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[Publications] K.Marayamu,H.Yanagie et al: "Liposomes bearing polyethyleneglycol-coupled transferrin show high extravasation and internalization into targeted solid tumors in vivo"Biochim.Biophys.Acta. (In press).
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[Publications] T.Sato et al: "In vitro Gene Delivery by using Supramolecular Systems-PEG-lipid, glycolipid, and Chitosan"Biomedical Polymers and Polymer Therapeutics (Ed by Emo Chiellini, Kluwer Academic/Plenum Publishing). (in press).
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[Publications] T.Sato et al: "Facile Preparation of a Fluorescence-labeled Plasmid"Chem.Lett.. (in press).