Research Abstract |
胃癌に対する免疫療法として,患者末梢血からのdendritic cell(DC)を用いたCTLの誘導をこれまでに3例に試みた。また,この誘導したCTLを用いてin vitroにおける抗腫瘍効果を検討してきた。【方法】DCの誘導:胃癌腹膜播種転移を有する症例の癌性腹水より,胃癌細胞を採取,同症例の末梢血液よりPBMCを分離する。Group1:FLT-3ligandとともに4日間培養し,DCを誘導する。Group2:GM-CSF及びIL-4とともに4日間培養しDCを誘導する。DCの同定は,細胞形態,FACScanによるCD83,MHC class IIの解析,S-100蛋白免疫染色にて検討,比較した結果,Group2のGM-CSF,IL-4によるDCの誘導効率が優れていると判断した。DC-MLTCの誘導:胃癌細胞をMMC(100ng/ml)処理後,DC,PBMCとともに培養し,DC-MLTCリンパ球を誘導した。更に,固層化CD3,IL-2を用いて14日間培養し,DC-MLTC-CTLを誘導した。In vitro study:DC-MLTC-CTLのautologous tumorkilling activity(ATK活性)を測定した。抗CD8,抗classI抗体を用いたATK活性の抑制と,他癌細胞株に対する細胞障害活性を測定した。【結果】PBMCより,樹状突起を有する特異な細胞形態を示すS-100蛋白染色陽性細胞が誘導された。Group2でのDC誘導効率は,CD83(+)HLA-DR(+)細胞78%であった。DC-MLTC-CTLはCD8(+)細胞が72.8%であり,ATK活性は,53.6±7.0%であった。このATK活性は,抗CD8,抗class-I抗体によりそれぞれ87.3%,89.7%阻害された。他の胃癌細胞株5種,肺癌細胞株2種,口腔扁平上皮癌株1種に対しては傷害活性をほとんど示さなかった。 【まとめ】患者末梢血よりGM-CSF,IL-4により効率よく樹状細胞を誘導することができた。さらに,固層化CD3,IL-2を用いて大量にCTLを誘導することができた。今後は,このCTLを用いて,Scid mouse in vivoにおける抗腫瘍効果を検討したのち,ヒト胃癌症例における抗腫瘍効果を検討していく予定である。
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