1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮との接着からみた癌転移の臓器特異性に関する研究
Project/Area Number |
10470270
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小川 純一 秋田大学, 医学部, 教授 (20112774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 秀樹 秋田大学, 医学部, 助手 (20291271)
南谷 佳弘 秋田大学, 医学部, 講師 (30239321)
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Keywords | 癌転移 / 臓器特異性 / 血管内皮細胞 / 細胞外マトリックス / 肺癌 |
Research Abstract |
癌転移の第一段階は癌細胞と標的血管内皮細胞との接着に始まる.また癌転移は原発臓器の違いにより転移しやすい臓器に特異性が存在する.我々は「癌転移の臓器特異性は血管内皮細胞側の表面に発現する接着分子などが各臓器で異なること」が原因であるという仮説のもとに研究を進めた.現在まで我々は豚の各臓器(肺・肝など)から臓器特異的細胞外マトリックスを分離してその上に人臍帯静脈血管内皮細胞を培養することにより,各臓器に特異的な血管内皮細胞を培養することに成功した.またこの方法で作製した各臓器に特異的な血管内皮細胞をサイトカインIL-1βで刺激した場合としなかった場合に,培養肺癌細胞と血管内皮細胞の接着性を検討した.培養肺癌細胞と肺細胞外マトリックス上に培養した血管内皮細胞どの接着性は,培養肺癌細胞と肝細胞外マトリックス上に培養した血管内皮細胞との接着性よりもIL-1βの刺激の有無に関らず有意に高かった.一般に肺癌は肝よりも肺に転移しやすいことが知られており,今回の培養細胞による実験系を用いた我々の実験結果は臨床における癌転移の臓器特異性に一致するものであった.今後はこの違いの原因を検討していく予定である.また今回の結果により,分離した細胞マトリックス中に各臓器血管内皮細胞の性質を規定する因子が含まれている可能性を示すことができた.
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