1999 Fiscal Year Annual Research Report
新たな脳神経系発生分化関連遺伝子の同定と、その異常により発生する脳疾患の解明
Project/Area Number |
10470296
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐谷 秀行 熊本大学, 医学部, 教授 (80264282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 令江 熊本大学, 医学部, 助手 (80253722)
中尾 光善 熊本大学, 医学部, 助手 (00217663)
三森 龍之 熊本大学, 医学部, 助教授 (00117384)
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Keywords | ショウジョウバエ / DLG / NE-dlg / NMDAレセプター / カルモジュリン / PDZドメイン / p51-nedasin / シナプス |
Research Abstract |
ショウジョウバエは、その遺伝子異常と神経系組織発生分化障害との関連が詳細に解析された生物であり、膨大なデータベースが存在する。一方、ヒト遺伝子についてはゲノム解析プロジェクトの成果として、ESTデータベースが日々増大しつつある。我々はこれらのデータベースを元に、ショウジョウバエの神経系発生分化関連遺伝子のヒト相同遺伝子を極めて効率的に同定する手法を開発した。本研究は、この手法を用いて神経系の発生分化・組織構築を制御する遺伝子群のヒト相同遺伝子を特定取得し、その特性解析、遺伝子局在の同定、発現分布解析を逐次実施することを目的として行った。本年度の成果を要約すると: 1)初年度にショウジョウバエDLG遺伝子のヒトホモログとして同定したNE-dlgが、神経細胞でシナプスの形成にともなって発現し、PSD-95と結合することを明かにした。また、この結合はカルシウム-カルモジュリンの存在下で増強することがわかった。NE-dlgはNMDAレセプターと結合し、シナプス部に濃縮して存在することが知られており、本所見よりシナプス形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 2)NE-dlgに細胞質内で結合する蛋白質を、GST-NE-dlg融合タンパク結合カラムを用いて牛脳抽出液から精製し、そのアミノ酸配列を決定したところ新規のアミドハイドロラーゼスーパーファミリー蛋白であることがわかった。この分子にp51-nedasinという名をつけその特性解析を行なった。p51-nedasinはシナプスの形成と共に神経細胞内でその発現が増加し、そのC末端においてNE-dlgのPDZドメインと結合することが明らかになった。更に、その結合によってNE-dlgとNMDAレセプターとの会合が阻害されることがわかり、シナプス形成を制御する分子として働く可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masuko,N. et al.: "Interaction of NE-dlg/SAP102, a neuronal and endocrine tissue-specific MAGUK protein, with calmodulin and PSD-95/SAP90."J. Biol. Chem.. 274. 5782-5790 (1999)
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[Publications] Kuwahara,H. et al.: "A novel NE-dlg/SAP102-associated protein, P51-nedasin, related to the amidohydrolase superfamily, interferes with the association between NE-dlg/SAP102 and NMDA receptor."J. Biol. Chem.. 274. 32204-32214 (1999)
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[Publications] Koga,H. et al.: "A human homolog of Drosophila lethal (3) malignant brain tumor (I(3)mbt) protein associates with condensed mitotic chromosomes."Oncogene. 18. 3799-3809 (1999)
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[Publications] Okamoto,I. et al.: "CD44 cleavagc induced by a membrane-associated metalloprotease plays a critical role in tumor cell migration."Oncogene. 18. 1435-1446 (1998)
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[Publications] Okamoto,I. et al.: "Regulated CD44 Cleavage Under the Control of Protein Kinase C, Calcium Influx and the Rho Family of Small G Proteins."J. Biol. Chem.. 274. 25525-25534 (1999)
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[Publications] Ito,K. et al.: "Calcium influx triggers the sequential proteolysis of extracellular and cytoplasmic domains of E-cadherin, leading to loss of β-catenin from cell-cell contacts."Oncogene. 18. 7080-7090 (1999)