1999 Fiscal Year Annual Research Report
水痘症治療における最適なシャントシステム特性の解明
Project/Area Number |
10470297
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
梶本 宜永 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30224413)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 裕治 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50181996)
太田 富雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80025650)
|
Keywords | 水頭症 / 脳室腹腔短絡術 / 腹腔内圧 / 頭蓋内圧 |
Research Abstract |
自家髄液を3秒間に3ml負荷し、その前後の頭蓋内圧(ICP)格差から頭蓋内エラスタンス(E)を求める方法(連続ボーラス注入法)を行い、頭蓋内圧と頭蓋内エラスタンスとの関係を臥位および坐位にて求めた。その結果、得られた圧・エラスタンス特性には、次のような3つの特徴を有していた。第一に、正常圧付近ではエラスタンス値は低いが、高圧および低圧領域では上昇した。第二に、その曲線の谷は臥位では単峰性であったが坐位では二峰性もしくは幅広い領域で低エラスタンスを呈した。第三に、従来の常識では頭蓋内圧が上昇するに従いそのエラスタンスは指数関数的に上昇するはずであったが、エラスタンスの上昇はむしろ途中で減速していた。この頭蓋脊髄腔の圧・エラスタンス特性は本研究にて始めて明らかとなった知見であるが、なぜこの様な特性を呈するのかは不明である。 そこで、頭蓋および脊髄腔の圧と静脈圧、毛細血管圧および動脈圧との相互関係の結果としてこれらの特徴が生じるとの仮説を立て、コンピューター・シミュレーションを用いて行った。その結果、正常圧付近では、頭蓋脊髄腔の圧と静脈圧との相互関係が、高圧部分では、毛細血管や細動脈と頭蓋内圧との相互関係が重要な役割を果たしていることが推察された。 また、連続ボーラス注入法の測定中に脳酸素モニターにて頭蓋内のoxyHbとdeoxyHbの変動も測定した。その結果、正常圧水頭症例にて正常圧上限でoxyHbの低下が見られた。この所見は、正常圧水頭症にて頭蓋内圧亢進が軽微であるにもかかわらず、症状を呈し白質病変が発生するのかという従来からの疑問点を解明しうるものである。 以上の知見から、個々の症例において頭蓋内圧のみならず頭蓋内エラスタンスや脳循環から見た最適なシャント特性を求められる。
|
Research Products
(1 results)