1998 Fiscal Year Annual Research Report
阻害物質に拮抗する人工肺サーファクタントの開発:多糖類添加と蛋白質調整の検討
Project/Area Number |
10470316
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 勉 金沢大学, 医学部, 教授 (40019922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 勝己 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (30242556)
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Keywords | 肺サーファクタント / 急性呼吸窮迫症候群 / サーファクタント阻害物質 / アルプミン / デキストラン / サーファクタント蛋白 / 表面吸着速度 / 表面張力 |
Research Abstract |
(1) 糖類の添加によるサーファクタントの活性向上:呼吸窮迫症候群の治療用サーファクタントは、アルブミンなどの血漿成分が存在すると活性を失う。しかし、今回われわれは、多糖類の一種であるデキストラン(71kDa)を加えると、表面吸着速度が促進し、最小表面張力が低下することを見い出した。この現象は、ウサギ胎仔を用いた生物学的評価系でも証明された。すなわち、デキストランには、不活化されたサーファクタントの活性を復活させる作用のあることが判明し、臨床的にも意義ある知見と考えられた。(J.Appl.Physiol.87巻に報告) (2) サーファクタント蛋白BおよびC(SP-BおよびSP-C)の含有量調整による活性の向上:合成リン脂質の組み合わせに、SP-Bを0〜0.7%、SP-Cを0〜1.4%添加した種々の再構築サーファクタントを作成し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のラットに投与して治療効果を比較した。SP-BとSP-Cが各々の最高値(0.7%と1.4%)の場合に、最も優れた効果が見られた。ARDSの治療用サーファクタントを作成するには、SP-B、SP-Cを増量すると良いことが判明した。しかし、十分量の決定には、追加実験の必要なことが判明した。(十全医会誌107巻に報告) (3) 2量体のSP-Cを用いた再構築サーファクタントの性能:肺胞蛋白症患者から採取したSP-Cの2量体を用いて再構築サーファクタントを作成した。このサーファクタントは、正常なSP-Cを用いたものより生理学的な作用が優れていた。治療法用サーファクタントの性能を向上させる対策として、2量体のSP-Cを用いる方法が示唆された。(日界面医誌29巻に報告)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tashiro, Katsumi: "Mechanism of scute lung injury caused by inhalation of fabaric protector and the effect of surfactant replacement" Intensive Care Medicine. 24・1. 55-60 (1998)
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[Publications] Grossmann, Gertie: "Experimental neonatal respiratory failure induced by lysophosphatidyl-choline:effect of surfactant treatment" Journal of Applied Physioligy. 86・2 (in press). (1999)
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[Publications] Kobaysshi,Tsutomu: "Dextran restores albumin-inhibited surface activity of pulmonary surfactant extract" Jounal of Applied Physiology. 87・(in press). (1999)
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[Publications] 西塚,一男: "肺水腫液中の蛋白質により不活化され難い再構築サーファクタントの開発" 金沢大学十全医学会雑誌. 107・4. 285-292 (1998)
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[Publications] 太田,圭亮: "肺胞蛋白症患者由来のサーファクタント蛋白Cの多量体の機能" 日本界面医学会雑誌. 29・1. 42-47 (1998)
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[Publications] 小林,勉: "急性呼吸窮迫症候群に対するサーファクタント補充療法:動物実験と臨床治験の違い" 日本界面医学会雑誌. 29・1. 23-28 (1998)