1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性装置埋め込み犬における虚血心の血行動態解析と効率的制御に関する研究
Project/Area Number |
10470319
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澄川 耕二 長崎大学, 医学部, 教授 (60028660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮尾 浩 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (40271126)
冨安 志郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (90244061)
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Keywords | 慢性装置埋め込み犬 / 心筋虚血 / 血行動態 / プレコンディショニング / 吸入麻酔薬 / ATP感受性カリウムチャネル |
Research Abstract |
イヌを麻酔下に開胸しプローブとカテーテルを装着した。大動脈起始部と左冠動脈回旋枝(LCX)にフロープローブを装着、左心室壁とLCXに計3対のレングスプローブを装着、左心室壁に1素子タイプ心筋厚変位プローブを装着した。左心室腔にマイクロチップ圧力トランスジューサーおよび心室容積測定用コンダクタンスカテーテルを装着、大動脈と肺動脈に圧測定、採血、血管内酸素飽和度測定用カテーテルを装着、冠静脈洞に採血用カテーテルを装着した。 循環動態としては、全身血行(心拍出量、動脈圧、末梢血管抵抗)、冠血行(冠動脈経、冠血流量)、心筋酸素代謝、心室収縮性(左室圧1次微分値、局所心筋収縮能)の測定を行い、解析用コンピューターDaqLiteを用いて演算処理を行った。 左前下降枝を15分間遮断したのち解除することによりスタン心筋を作成し、これに対し麻酔薬と各種循環作動薬の影響を検討した。セボフルレンを虚血前の15分間と虚血中投与することによりスタン心筋に対して有意の保護作用が認められた。この作用は心拍数と動脈圧のべースライン制御によって影響を受けなかったので心仕事量の減少が保護作用の機序ではない。またカラー微粒子により測定した心筋微小循環はセボフルレンにより変化しなかった。ATP感受性カリウムチャネル(KATP)遮断薬のグリペンクラミドによりこの保護作用は消失し、さらにミトコンドリアKATP特異的遮断薬5-hydroxydecanoateもグリベンクラミドと同等の作用を示した。これらの結果は、心虚血再灌流障害における薬理学的プレコンディショニングにミトコンドリアKATPが重要な役割を演じることを示唆するものである。
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