1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼのストレス応答による麻酔薬惹起性血管内皮細胞接着機構の解明
Project/Area Number |
10470325
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60182226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00206385)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 血管内皮細胞 / 白血球 / 血小板 / ヘムオキシゲナーゼ / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
ヘム代謝酵素へムオキシゲナーゼ(heme oxygenase-1;HO-1)が酸素ストレスや炎症性組織傷害過程に関与し(FASEB J 1988;2:2557)、ヘム代謝産物である一酸化炭素(CO)がNOに次ぐ第2のガス状メディエーターとして注目されている(Science 1993;235:1043)。HO-1は低酸素、高温低温刺激、サイトカインなど周術期関連の侵襲により誘導される(Am J Respir Cell Mol Biol 1996;15:9)ことから、本研究ではHO-1誘導ならびにCOの麻酔薬惹起性血管内皮細胞接着反応(Anesthesiology 1997;87:591)への効果を検討している。今年度(平成11年度)の研究により、1)ヘミンによるHO-1誘導がハロセン惹起性白血球接着ならびに転回を抑制する、2)HO-1拮抗物質Zinc Protoporphylline(ZnPP)によりハロセン惹起性接着反応が再現できる、3)COの表面灌流により、ハロセン惹起性接着反応を抑制すること、4)ビリルビンの表面灌流がハロセン麻酔下における腸間膜微小循環を破綻すること等が明らかとなってきている。つまり、HO-1誘導は麻酔薬惹起性細胞接着を抑制し、その機序としてCOが関与していることが明らかとなりつつある。この結果は日本麻酔学会第47回大会(2000年4月東京)で発表予定である。併せて検討している血小板の生体内動態は現在ビデオテープを解析中であるものの、概ね白血球動態と同様の接着反応を示している。これまで麻酔薬と血小板凝集能を生体外で検討した研究は多いが、その生体内動態(接着反応)と麻酔薬の関連を検討した報告はない。次年度には標本数をさらに増やしてその統計上の証拠を固めると共に、セボフルラン麻酔下での検討を行い、白血球ならびに血小板接着機構に対する麻酔薬の関与をさらに検討していく予定である。
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