1999 Fiscal Year Annual Research Report
腎血管性高血圧症(慢性期)の病因、とくに血管結合織蛋白質代謝の関与
Project/Area Number |
10470332
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中田 瑛浩 山形大学, 医学部, 教授 (50009495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 五十次 山形大学, 医学部, 講師 (80196146)
久保田 洋子 山形大学, 医学部, 助教授 (60125763)
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Keywords | 腎血管性高血圧症 / 血管収縮蛋白質 / 非コラージェン蛋白質 / コラージェン / 交感神経 / ノルエピネフリン / カプトプリル / βアミノプロピオニトリル |
Research Abstract |
Wistar系雄性ラットに2腎性高血圧症を作製し、高血圧慢性期に検索した。1群:sham手術群、2群:片側腎動脈狭窄群、3群:片側腎動脈狭窄+除神経群、4群:片側腎動脈狭窄+β・アミノプロピル(コラージェン代謝阻害剤)投与群、5群:片側腎動脈狭窄+カプトプリル(アンジオテンシン転換酵素阻害剤)投与群に分けた。高血圧慢性期(実験18週)における血圧は2群で高く、3、4群では高血圧は改善され、5群でも軽度に改善された。18週において^3H-プロリンを全てのラットに投与し、腹部大動脈、腸間膜動脈をホモジェネートし、それぞれの臓器中のコラージェン、非コラージェン蛋白質、エラスチンへの^3H-プロリンの取り込みを測定し、dpm/mg蛋白質にて示した。片側腎動脈狭窄ラットの腸間膜動脈のコラージェン、非コラージェン蛋白質への^3H-プロリンの取り込みは最も高く、その動物に除神経術を施行すると、血圧は下降し、^3H-プロリンのそれらの蛋白分画への取り込みは低下した。片側腎動脈狭窄のラットにβ-アミノプロピルニトリルを投与すると、腸間膜動脈のコラージェン中への^3H-プロリンの取り込みも低下した。大動脈のコラージェン、非コラージェン蛋白質への^3H-プロリンの取り込みは腸間膜ほどではないものの同傾向を呈した。エラスチンについては両蛋白質への標識プロリンの取り込みは変動しなかった。即ち、2腎性高血圧症の慢性高血圧症には、腸間膜動脈のコラージェン、非コラージェン蛋白質の代謝亢進が強く関与しており、神経因子を介してactireとなる事が推測された。尚、2腎性高血圧の昇圧機(急性高血圧期)にはレニン・アンジオテンシン系の亢進が立証された。急性期には血漿ルエピネフリンのが高く、ノルエピネフリン分泌apparent rateも高く、急性期にも高血圧の発生に交感神経の亢進も関与することが示された。さらに、イヌ、ヒトにおいて検索し、以下の如き結論を得た。 1.急性期には狭窄腎からのレニン産生の上昇が直接の昇圧機序となっている。 2.中枢の異常(視床下部のNE含量の低下、線条体のCA代謝物の増加)が交感神経系活性を亢進させて昇圧に関与する。 3.慢性期には腸間膜動脈、精巣動脈の非コラージェン蛋白質、コラージェンの代謝亢進が、血管抵抗を増加させて昇圧を維持する。 4.非狭窄側の腎からのACE活性の上昇も血圧上昇に関与するが、その程度は軽微である。
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Research Products
(2 results)