1998 Fiscal Year Annual Research Report
鼻アレルギーにおける好酸球浸潤機序と炎症細胞,上皮細胞,血管内皮細胞の相互作用
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10470352
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今野 昭義 千葉大学, 医学部, 教授 (70009497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 公一 千葉大学, 医学部, 助手 (50261920)
本杉 英昭 千葉大学, 医学部, 助手 (30292676)
永田 博史 千葉大学, 医学部, 講師 (20237530)
沼田 勉 千葉大学, 医学部, 講師 (60189355)
寺田 修久 千葉大学, 医学部, 講師 (70197797)
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Keywords | 鼻アレルギー / アレルギー性炎症 / 好酸球 / エオタキシン / RANTES / IL-5 / 上皮傷害 / E-カドヘリン |
Research Abstract |
1. 鼻アレルギー鼻粘膜における好酸球浸潤と上皮傷害に関する検討 アレルギー疾患における好酸球浸潤と上皮傷害について、気管支喘息では比較的よく示されているが鼻粘膜においては十分に検討されていない。今回上皮細胞間結合をmediateしている主要な細胞接着分子E-カドヘリンに着目した。まずOA感作モルモット鼻アレルギーモデルを作成し、抗原点鼻誘発後の鼻粘膜上皮微細構造およびE-カドヘリン分布の変化について主に免疫組織化学を用いて観察した(in vivo)。次に培養ヒト鼻粘膜上皮において、ヒト末梢血から分離した炎症細胞を用いて通過実験を行い、好酸球の上皮細胞間隙通過がE-カドヘリン発現にあたえる影響について検討した(in vitro)。 免疫電顕を用いたin vivoの実験では、点鼻誘発後の上皮で浸潤好酸球の介在部位に一致してE-カドヘリン染色性が部分的に低下・消失していることを観察した。さらにin vitroにおいて、アレルギー局所を想定した活性化好酸球の細胞通過後に、培養鼻粘膜上皮E-カドヘリン免疫蛍光反応有意な低下を認めた。これらの結果から、上皮細胞のE-カドヘリン反応の低下に活性化好酸球の上皮細胞間隙通過が影響を与えたことが考えらた。 2. ヒト鼻粘膜における好酸球遊走因子とその受容体の検討 transmigration assay法を用いてヒト末梢血から採取した好酸球の、ヒト鼻粘膜から分離・培養した微小血管内皮細胞間隙遊走に与える各種好酸球遊走因子の作用を検討した。最も作用が強いものはeeotaxin2であり、以下eotaxin、RANTES、PAF、IL-5の順であった。次にヒト鼻粘膜ホモジネートを作成し、好酸球遊走因子が含まれることを確認した上で、ホモジネートを抗IL-5抗体、抗eotaxin抗体で処理した群、また好酸球をeotaxin、eotaxin2、RANTES、MCP-3、MCD-4の共通レセプターであるCCR-3抗体で処理した群において、好酸球の血管内皮細胞間隙遊走はどのような影響を受けるのかを検討した。抗IL-5抗体処理によって約10%、抗eotaxin抗体処理によって20%、抗CCR-3抗体処理によって30%の好酸球遊走の抑制が認められた。 ヒト鼻粘膜培養血管内皮細胞においてeotaxin受容体CCR-3が存在することをフローサイトメトリーを用いて確認し、eotaxin処理により血管内皮細胞にシグナルが入り細胞内のカルシウム濃度が変化することを明らかにした。ヒト鼻粘膜血管内皮細胞にeotaxin受容体が存在し機能していることを示す。 3. 各種ケモカイン産生細胞と産生刺激に関する検討 ヒト鼻粘膜から分離・継代培養した上皮細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞を種々のサイトカインで刺激し、eotaxin、RANTES、IL-8、IL-16、LTB_4、PAFの産生量と至適刺激について検討した。RANTESの産生細胞は上皮細胞、血管内皮細胞および線維芽細胞であり、最も重要な刺激はTNF-αとIFN-γの共同刺激であった。eotaxinの最も重要な産生細胞は線維芽細胞であり、次は血管内皮細胞と好酸球であった。最も重要な刺激はTNF-αとIL-4、又はTNF-αとIL-13の共同刺激であった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Terada N,Konno A et al: "The potential role IL-13 in eosinophilic inflammation in rasal mucosa" Allergy. 53. 690-697 (1998)
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[Publications] Terada N,Konno A et al: "The effect of ramatroban(BAYu3405),a thromboxan A2 receptor antagonist,on nasal cavitv volume and minimum cross-sectional area and nasal mucasal hemodynamics after nasal mucosal allergen challenge in patients with perennial allergic rhinitis" Acta Oto-Laryrgologica(Stockh). Suppl 537. 32-37 (1998)
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[Publications] Hamano N,Konno A et al: "Effect of sex hormones on the eosinophilic inflammation in nasal mucosa" Allergy and Asthma Proceedings.19. 263-269 (1998)
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[Publications] Kobayashi N,Konno A et al: "Immunohistochemical study of E-cadherin and ZO-1 in allergic nasal epithelium of guinea pig" Int Arch Allergy Immunol. 116. 196-205 (1998)
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[Publications] 今野昭義,他: "アレルギーと知覚過敏" アレルギーの領域. 5. 260-267 (1998)
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[Publications] 今野昭義,他: "鼻過敏症における鼻粘膜過敏性とその評価法" アレルギーの領域. 5. 1163-1173 (1998)
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[Publications] 今野昭義,他: "気道アレルギー'98:分担 鼻粘膜過敏性の構成要因と加齢による変化" メジカルレビュー社, 61-7 (1998)
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[Publications] 今野昭義,他: "臓器特異性からみたアレルギー疾患の将来展望 アレルギー性鼻炎(分担)" 日本アクセル・シュプリンカー出版,メジカルトリビューンブックス, 80-104 (1998)