1999 Fiscal Year Annual Research Report
フリーラジカルの制御による内耳障害の治療に関する分子生物学的研究
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10470357
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
工田 昌也 広島大学, 医学部・付属病院, 講師 (00179590)
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Keywords | 内耳 / NOS / フリーラジカル / 一酸化窒素 / 蛍光 / 病態 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続いて内耳障害とフリーラジカル、特にNOとの関連について検討し、メニエール病、シスプラチン難聴の治療への応用を試みた。その結果、正常動物の内耳ではNOSI,NOSIIIのみが認められたが、内耳障害モデルではNOSIIが発現することが明らかとなった。また、DAF-2DAを用いた実験で正常動物でもGM、グルタミン酸の刺激によりNOが産生されること、内耳障害動物では正常動物に比べて有意に大量のNOが産生されることが確認された。これらのことより、内耳障害の発症には、初期にはcNOSからのNO、ついでNOSIIからのNOが強く関連していることが明らかとなった。さらに、臨床的にメニエール疾患者10名にフリーラジカル消去剤(rebamipide)を投与し、治療効果を検討した。その結果、レバミピドによるメニエール病の治療効果は1年経過した時点でめまいは著明改善:5/10、聴力は改善:5/10、耳鳴は改善:9/10、能力低下は改善:6/10、であった。さらに聴力に対する効果を周波数別に検討してみると250,500Hzでは有意に聴力が改善していた。また、シスプラチン難聴に対しても10例中8例で聴力の改善が認められ、内耳障害の発現にはフリーラジカルが強く関連しており、フリーラジカルを制御することで内耳障害の新しい法の開発が可能なことが強く示唆された。 これらの結果は第100回日本耳鼻咽喉科学会総会、平成11年日本平衡神経科学会勉強会、第9回日本耳科学会、第58回日本平衡神経科学会で報告するとともに、6編の論文にまとめられた。
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[Publications] Takumida M., Popa R., Anniko M.: "Free radicals in the guinea pig inner ear following gentamicin exposure,"ORL. 61・2. 63-70 (1999)
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[Publications] Takumida M.,Anniko M.: "Direct evidence of nitric oxide production in the guinea pig vestibular sensory cells."Acta Otolaryngol(Stockh). (印刷中). (2000)
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[Publications] Takumida M.,Anniko M., Popa R., Zhang DM: "Localization of soluble guanylate cyclase activity in the guinea pig inner ear"Acta Otolaryngol(Stockh). (印刷中). (2000)
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[Publications] Takumida M.,Anniko M., Popa R., Zhang DM: "Lipopolysaccharide-induced expression of inducible nitric oxide synthase in the guinea pig organ of Corti"Hear Res. (印刷中). (2000)
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[Publications] 工田昌矢、夜陣紘治: "抗酸化剤によるCDDP難聴の治療"耳鼻臨床. (印刷中). (2000)
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[Publications] 工田昌矢: "内耳、前庭器とNO.内耳研究-最近の進歩- 山下敏夫 編"金原出版. 114 (1999)