2000 Fiscal Year Annual Research Report
網膜微小循環における白血球-血管内皮相互反応機構とその病態的意義の解明
Project/Area Number |
10470364
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70191963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 一之 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (40305537)
尾関 年則 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60254299)
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Keywords | 高脂血症 / 白血球 / コレステロール / 網膜血管内皮 |
Research Abstract |
高脂血症ラットでは網膜微小循環における白血球集積の亢進がみられる。今回は、NOドナー作用を有する抗緑内障点眼薬nipradilolの白血球集積に対する抑制効果について検討した。ラット網膜微小循環における白血球動態の評価方法としては、acridine orange digital fluorographyの手法を用いた。 有色ラット(Brown Norway、体重200g)に高コレステロール食のみを8週間投与したものをA群(コントロール),高コレステロール食を8週間投与し,その期間中に1日2回基剤50μlを点眼したものをB群,高コレステロール食を8週間投与し,その期間中に1日2回1%nipradilol 50μlを点眼したものをC群とした。それぞれのラットに,麻酔下でラット用コンタクトレンズを装着後,尾静脈からacridine orange(AO)を注入した。AOは核DNAと結合して、走査型レーザー検眼鏡(SLO)のアルゴンレーザーにより励起されて蛍光を発するため、白血球を蛍光点として観察できる。AO注入直後と30分後にSLOを用いて網膜微小循環での白血球動態をデジタルビデオに記録した。コンピューターによる画像解析を用いて、網膜血管内白血球ローリング数、網膜内白血球集積数、網膜主幹血管径を測定した。 血清コレステロール値は,投与8週後にA,B,C群でそれぞれ148±13.1mg/dl,152±10.7mg/dl,130±9.0mg/dlとなり各群間で有意差は認めなかった。アクリジンオレンジ注入30分後の網膜内白血球集積数は,A,B,C群でそれぞれ29±5.9/mm^2,26±2.6/mm^2,20±4.9/mm^2で,B群ではA群に比べ有意差はなかったが,C群ではA群に比べ有意に減少していた(p=0.0026)。白血球のローリングは3群ともみられず,血管径や血流速度にも各群間に有意差は認めなかった。 以上の結果よりnipradilolを点眼投与することにより,高脂血症の網膜微小循環における白血球と網膜血管内皮間の粘着能亢進が抑制される可能性があることが判明した。
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Research Products
(1 results)