1999 Fiscal Year Annual Research Report
小児期における腸管上皮細胞間リンパ球とクリプトパッチの発達分化とその機能について
Project/Area Number |
10470369
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
金森 豊 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20221187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 正彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00270877)
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Keywords | クリプトパッチ / 上皮細胞間リンパ球 |
Research Abstract |
これまでに我々はマウス腸管に存在する上皮細胞間リンパ球の前駆細胞の集積、クリプトパッチの報告を行ってきた。本研究はこのようなリンパ組織がヒトに存在するかを検討することが主たる目的である。これまでに成人空腸、幼児空腸について手術材料を用いて検討してきたが、マウス腸管に存在するようなc-kit 陽性細胞の集積はヒト腸管では認めないことが明らかになった。ヒト腸管では、c-kit 陽性細胞はパイエル板や孤立リンパ小節の周辺に存在し、また、粘膜固有層に散在性に存在する。つまり、c-kit 陽性細胞が中心のマウスクリプトパッチのようなリンパ組織は存在しない。一方、上皮細胞間リンパ球はCD3腸性Tリンパ球の検討によって1-3歳の幼児空腸には成人に匹敵するほどのものが存在し、上皮細胞間リンパ球が乳児期には十分な発達分化を遂げることが明らかとなった。マウスではクリプトパッチリンパ球が上皮細胞間リンパ球に分化することはほぼ明らかとなったが、ヒトではクリプトパッチ相当リンパ組織がないとすると胸腺外分化する上皮細胞間リンパ球の発達分化機構は未だ未解決の問題である。今後我々は、胸腺外分化リンパ球はマウスでは多数腸管に存在するが、ヒトではあまり多くないことから、生後早期にヒトでは胸腺外分化リンパ球の腸管での供給は終わってしまうのではないかとの仮定にたって、検索する年齢を新生児期や胎児期にまで広げて腸管の検索を行うことを検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hisashi Saito: "Generation of Intestinal T cells from Progenitors Residing in Gut Cryptopatches"Science. 280. 275-278 (1998)
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[Publications] Masanobu Nanno: "Intestinal Intraepithelial T Lymphocytes"Immunologic Research. 18. 41-53 (1998)
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[Publications] Hisashi Saito: "New Gut Associated Lymphoid Tissues Cryptopatches breed *intestinal intraepithelial T cells"International Congress of Immunology. 1615-1619 (1998)
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[Publications] 斉藤 恒: "新しいマウス腸管リンパ組織(cryptopatch)での上皮細胞間T前駆細胞の発達分化"臨床免疫. 30(1). 20-24 (1998)
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[Publications] 金森 豊: "マウス腸管粘膜固有層に存在するリンパ球前駆細胞の小集積cryptopatch(cp)の解析第3報"消化器と免疫. 34. 75-78 (1997)
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[Publications] 斉藤 恒: "クリプトパッチ(cryptopatch)における腸管上皮細胞間T細胞(IEI)の発達分化"感染・炎症・免疫. 29(1). (1999)