1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10470370
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40028569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草深 竹志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70263267)
鎌田 振吉 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40161202)
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Keywords | 食道閉鎖症 / アドリアマイシン / 三次元構築 / 発生 / 分化 / 動物モデル |
Research Abstract |
アドリアマイシン投与ラット(アドリアマイシン2mg/kg妊娠8および9日目のWistar雌ラットに連日腹腔内投与する)において、胎児の50%に食道閉鎖症を発症するモデルを作成し、食道閉鎖症の成因に関連する遺伝子の発現を検討した。 まず妊娠11日目から14日目までの胎児胚を採取して、これを固定包埋後連続組織切片を作成し、HE染色にてその形態を観察した。アドリアマイシン投与群では、11.5日には咽頭下部の胚芽が観察されるが、前腸は気管と食道に分化せず、一本の管のままで尾側に延長し、12日目には正常群の気管分岐部に相当する高さで前腸の腹側に左右に分岐する気管枝芽として観察された。また、13日目には気管分岐部附近から細い瘻孔が下部食道以下の消化管に連続することが観察された。さらに、notochord(脊索)は、正常ラットでは神経管と前腸との間に存在するが、アドリアマイシン投与ラットでは、これが細くなり、屈曲蛇行するのが観察された。肺芽分化に関わる可能性の高いSsh遺伝子の発現を、in situ hybridazationを用いて検討すると、正常ではその発現が観察される神経管腹側部と、脊索において、アドリアマイシン投与ラットではその発現が低下していることが観察された。 現在のところ、我々の実験結果からは、食道閉鎖症の発生には、少なくともSsh遺伝子の発現異常が関っていることが示唆されている。
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