1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生機序における血流因子の役割および分子機構の生体実験モデルでの解明
Project/Area Number |
10470373
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朝戸 裕貴 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (20222581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市岡 滋 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (60306272)
安藤 譲二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20159528)
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Keywords | 血管新生 / shear stress / 微小循環 |
Research Abstract |
血管内皮細胞には血流の変化を血流に起因する物理力であるshear stressを介して感知し応答する機能が備わっていて、それにより血管の形態や機能が著しく影響されることが解明されつつある。本研究では血管新生のメカニズムにおける血流因子とくにshear stressの役割を追求している。 現時点までにウサギ耳介透明窓において慢性的な血管拡張薬の投与は組織再生過程における初期のshear stressを上昇させ、血管新生を促進することが示された。それに伴い初期に増大したshear stressは経時的にコントロール値に制御された。この結果より創傷治癒における血管新生のメカニズムはshear stressに対する血管系の内皮依存性適応制御反応により調節されていることが示唆された。 またin vitroの実験と異なりin vivoで内皮細胞に血流負荷をするのは難しく、従来は血管拡張剤など薬理的手段を用いてきた。この方法では局所の血流増加は著明なものではなく、それ以外の多くの因子も変化し得るため、血管新生に対する血行力学的因子の効果を検討するには限界があった。今回の実験計画では形成外科におけるマイクロサージェリーの技術を駆使して実験動物に動静脈シャントを作成し、確実な血流増加を惹起できる生体内血管新生モデルを確立している。これまでにラットの大腿動静脈を吻合することで生理的値の10倍以上の血流増大が得られることを確認している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ichioka, S., et al.: "Effects of shear stress on wound-healing anglogenesis in the rabbit ear chamber" J.Surg.Res.72. 29-35 (1997)
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[Publications] Ichioka, S., et al.: "In vivo measurement of morphometric and hemodynamic changes in the microcirculation during angiogenesis under chronic al-adrenergic blocker treatment" Microvasc.Res.55. 165-174 (1998)
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[Publications] Ichioka, S., et al.: "Amrinone, a selective phosphodiesterase III inhibitor, improves microcirculation and flap survival:A comparative study with prostaglandin E1" J.Sur.Res.75. 42-48 (1998)
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[Publications] 市岡滋ほか: "Monthly Book Derma:皮膚計測マニュアル" 全日本病院出版会, 7 (1998)