2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌における口腔環境からの生体鉄の獲得および蓄積の分子機構
Project/Area Number |
10470383
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 浩次 長崎大学, 歯学部, 教授 (80150473)
|
Keywords | ポルフィロモナス・ジンジバリス / 歯周病 / 嫌気性細菌 / ヘム / プロテアーゼ |
Research Abstract |
ポルフィロモナスジンジバリスの黒色集落形成能の変異株であるporR株について解析を行った。porR遺伝子はLPSやアミノ配糖体中の糖の合成過程に含まれる酵素の遺伝子にアミノ酸配列上、類似性があった。そこでporR株のLPSを精製し、ゲル電気泳動で解析したところ糖鎖の伸長が著しく低下しており、ほとんど高分子のLPSが検出されなかった。また、本菌の主要なタンパク分解酵素であるアルグージンジパイン(Rgp)とLPSの両方に存在する糖と反応するモノクローナル抗体(Dr.Curtisより分与)を用いたイムノブロットを行ったところ、porR株の菌体lysateはまったく反応しなかった。この結果からporR遺伝子は本菌のLPSやRgpタンパク中に存在する糖の合成に関与する遺伝子であることが示唆された。また、porR株のRgpやリジルージンジパイン(Kgp)の局在を調べたところ、野生株では菌体と培養上清に検出されたが、porR株では培養上清にあり、菌体からはほとんど検出できなかった。さらにRgpやKgpをコードする遺伝子(rgpAとkgp)はタンパク分解酵素のほか、赤血球凝集素タンパク(HA)とヘモグロビンレセプタータンパク(HbR)とそのC末端側にコードしている。これらのタンパクの局在を調べたところ、RgpやKgpと同様に培養上清中に大部分が検出された。これらのタンパクは菌体表面で複合体を形成していると考えられていることから、今回の結果から、Rgp/Kgp/HA/HbR複合体は菌体表面のLPSと結合しており、porR株においてはLPSの糖鎖の部分が変化することでこの複合体を表面に停留することができなくなったことが示唆された。
|
Research Products
(1 results)