1998 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質の石灰化機構と結晶基質蛋白の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
10470385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
青葉 孝昭 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (30028807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳下 寿郎 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256989)
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (30197587)
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Keywords | エナメル質 / 石灰化 / アパタイト / 結晶成長 / 溶液イオン組織 / 過飽和度 / 基質蛋白 / アメロジェニン |
Research Abstract |
歯や骨の硬組織における石灰化反応は、組織固有の分化した細胞群によって囲まれた微小環境下で時間的および空間的に秩序だった過程を経て進行する。これらの石灰化反応に関連して、(1)生体内の水溶液相において、どのようにして最初の結晶核が生成され、いかなる頻度で現れるかという核生成機構と、(2)いかなる成長過程を経て組織特異な結晶の形態や大きさが決定されるのか、が多くの関心を捉えてきた。生体内で最も大きく成長するエナメル結晶は、これらの問題に解答を与える格好のモデルと考えられる。平成10年度の研究活動のなかで、(1)酸性アミノ酸残基が結晶表面への吸着反応を介して、結晶の核形成とその後の成長反応を制御していること、(2)基質形成期のエナメル芽細胞の近傍で観察される最も幼若なエナメル結晶は非常に薄いリボン状の形態を呈し、その結晶組成はリン酸オクタカルシウム(OCP)であること、(3)主な基質蛋白であるアメロジェニンが溶液内での伸展した柱状の粒子形状をとることを明らかにしてきた。これらの成果については、既に論文として発表した。次年度においては、当初の計画にしたがって、(1)ラット切歯の基質形成期エナメル質における溶液相の組成(未知のイオン種、有機酸、アミノ酸、ペプチド)の同定とその定量、とりわけ過飽和度の計算に必須なpHとCa活量の微小電極による測定、(2)マウス臼歯歯胚のin situと器官培養系において、生理的あるいは特定の外来刺激(フッ素投与や増殖因子の関与)の影響下におけるアメロジェニンの発現過程と結晶成長過程を検討していく。歯胚の器官培養については、必要とされる実験設備を平成10年度に購入し、予備検索を終えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kaori Sato,et al.: "Consideration of functional significance of dicarboxylic amino acids in calcium apatite precipitation." Jpn J Oral Biol. 40・6. 632-640 (1998)
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[Publications] Yoshihito Shimazu,et al.: "Tissue Maturation of Fibro-osseous Lesions with Respect to the Inorganic Constituents and Crystallographic Features." Oral Med.Path.3. 61-66 (1998)
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[Publications] N.Matsushima,et al.: "Small-angle X-ray scattering and computer-aided molecular modeling studies of 20 kDa fragment of porcine amelogenin: Does amelogenin adopt an elongated bundle structure?" J.Biochemistry. 123. 150-156 (1998)
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[Publications] 中原由絵、他: "日本人の永久歯にみられたう蝕病変の臨床診断と病理所見に基づく確定診断" 歯学. 86・2. 261-282 (1998)
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[Publications] 青葉孝昭(分担執筆)高木実 編: "口腔病理アトラス:う蝕" 文光堂, 20 (1998)
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[Publications] 青葉孝昭 著: "歯と歯周組織の病理学入門" 日本歯科大学病理学教室編, 255 (1998)