2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内ウイルス感染症とエイズ関連カポジ肉腫細胞に発現される増殖因子に関する研究
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10470392
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中島 秀喜 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (20192669)
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Keywords | T134 / T140 / AMD3100 / CXCR4アンタゴニスト / KSHV / HHV8 / vMIP-II / ベツリン酸誘導体 / YK-FH312 |
Research Abstract |
1)CXCR4アンタゴニストであるT134の有用性と作用機序を詳細に検討するために、T134耐性となったHIV-1を作成し、そのenv領域のアミノ酸変異を検討した。さらに、この耐性ウイルスに対する、T140やALX40-4C、AMD3100、CXCR4のナチュラルリガンドのSDF-1およびカポジ肉腫の原因と考えられているKSHV/HHV8遺伝子にコードされているケモカイン様物質であるvMIPIIの抗ウイルス活性を評価し、交差耐性の有無を検討した。その結果、T134耐性HIV-1に見られたアミノ酸変異は、SDF-1やAMD3100耐性ウイルスに関して報告されているアミノ酸変異を含み、さらにより多くの変異がみられることが判明した。AMD3100耐性HIV-1に対しては、T134やT140は感受性を有していることは既に我々が報告していたが、T134耐性HIV-1に対しては今回試験したすべてのCXCR4アンタゴニストに対しても抵抗性を示し、交差耐性を示すことが判明した。すなわち、env領域のアミノ酸変異の多さに順じて交差耐性を示す薬剤の種類が多くなるのではないかと考えられた。また、耐性獲得の機序として、利用するコレセプターが異なるのではないかと考えてこれを検討した結果、T134耐性HIV-1は野生株のX4 HIV-1と同様にCXCR4をコレセプターとして利用していることも判明した。 2)植物由来のベツリン酸誘導体であるYK-FH312を合成し、その抗HIV-1活性と作用機序を検討した。その結果、YK-FH312は逆転写酵素やHIVのプロテアーゼ阻害活性はなく、またウイルス吸着阻害も、感染細胞でのHIV mRNAの発現抑制も見られなかった。しかしながら、YK-FH312で処理したHIV感染細胞培養上清中にはウイルス粒子の放出が阻止されていた。それ故、YK-FH312はウイルス粒子の組み立てから、出芽に至る増殖サイクルの後期過程に影響している、新規な作用機序をもつ抗ウイルス物質である可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Arakaki,R.,Tamamura,H..,Nakashima,H., et al.: "T134,a small molecule CXCR4 inhibitor, has no cross drug-resistance with the different class of CXCR4 antagonist AMD3100.,"J.Virol.. 73. 1719-1723 (1999)
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[Publications] Xu,Y.,Tamamura,H.,Arakaki,R.,Nakashima,H., et al.: "Marked increase in anti-HIV activity, as well as inhibitory activity against HIV entry mediated by CXCR4, linked to enhancement of the binding ability of tachyplesin......"AIDS Res.Human Retroviruses. 15(5). 419-427 (1999)
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[Publications] Gotoh,K.,Izumi,H.,Kanamoto,T.,Nakashima,H., et al.: "Sulfated fibroin, a novel sulfated peptide derived from silk, inhibits human immunodeficoency virus replication in vitro."Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64(8). 1664-1670 (2000)
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[Publications] Gotoh,K.,Yoshimori,M.,Nakashima,H., et al.: "Increase of R5 HIV-1 infection and CCR5 expression in T cells treated with high concentrations of CXCR4 antagonists and SDF-1."J.Infect.Chemother.. 7(in press.). (2001)
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[Publications] Kanbara,K.,Sato,S.Nakashima,H., et al.: "Biological and genetic characterization of a human immunodeficiency virus strain resistant to CXCR4 antagonist T134."AIDS Res.Human Retroviruses. (in press.). (2001)
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[Publications] Kannamoto,T.,Kashiwada,Y.,Nakashima,H., et al.: "Anti-human immunodeficiency virus activity of YK-FH312, a betulinic acid derivative; a novel compound blocking viral maturation."Antimicrob.Agents Chemother.. (in press). (2001)
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[Publications] 中島秀喜(分担執筆): "ウイルス感染症、医療薬学III病体と薬物治療(3)(井上圭三 監修、岩坪威,上田志朗,工藤一郎,西島正弘,山本俊憲 編)"東京化学同人. 295-308 (2000)
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[Publications] 中島秀喜,金本大成(分担執筆): "III.新しい4抗ウイルス療法の戦略 4.ポリペプチド、ウイルス感染症との戦い-現状と21世紀への展望-(茂田士郎,満屋裕明 編)"医薬ジャーナル社. 295-308 (2000)