1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における転写仲介因子p300の突然変異と新たな癌抑制遺伝子としての役割
Project/Area Number |
10470400
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 正明 東京医科歯科大学, 歯学研究科, 助教授 (20193211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 やよい 東京都, 神経科学総合研究所, 研究員
玉盛 三美 , 医学部, 学術振興会特別研究員
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Keywords | 口腔癌 / 転写仲介因子 / p300遺伝子 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
口腔癌発症の分子機構を解明するためには、口腔癌発症に関与している遺伝子の検索、同定を行い、口腔癌の多段階発癌過程を明らかにする必要がある。我々は、転写調節、細胞癌化、分化の過程で重要な機能を担っている転写仲介因子p300に注目し、p300遺伝子のヒト口腔癌発癌過程におけるp300遺伝子の関与について解析を行った。既に我々は、口腔扁平上皮癌1例と子宮頸部癌1例において、p300遺伝子に変異を見いだしており、さらに、それらの細胞では正常なp300が発現していないことを明らかにしている。 そこで今年度、ヒト癌細胞で検出されたp300遺伝子の変異が、転写制御や細胞増殖にどの様な異常をもたらすかを検討した。その結果、p300に変異を検出した細胞株に正常p300遺伝子を導入するとTGFβによる増殖抑制が回復すること。また、その変異型p300は、TGFβのシグナル伝達に重要な働きをするSmadと結合する領域を欠損しており、SmadあるいはTGFβ受容体の作用を仲介できないことを見いだした。以上の結果から、p300の変異により少なくとモTGFβのシグナル伝達系に異常が生じていること、p300遺伝子に変異のある細胞ではTGFβを介した増殖抑制シグナルが正常に伝わらないことが明らかになった。現在、p300に変異を持つ細胞株に正常型p300を導入することにより、p300遺伝子が、癌抑制遺伝子としての機能をもつかどうかを検討している。 一方、我々は、発生過程におけるp300遺伝子の機能を解析するために、発生初期胚の性質を保っている胚性腫瘍細胞においてp300の機構を解析した。その結果、p300蛋白質が多量に蓄積しており、分化とともに急激に減少することを見いだした。さらにそのp300蛋白量の変化が、未分化胚性腫瘍細胞における転写抑制の解除に重要な役割を果たしていることを示した。
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[Publications] Tamamori M.,et al.: "Essential roles for G1 cyclin-dependent kinase activity in development of cardiomyocyte hypertrophy." Am.J.Physiol.275. H2036-H2040 (1998)
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[Publications] Ota,M. et al: "Accumulation of p300 mediates transcriptional repression of simian virus 40 enhancer in undifferentiated F9 embryonal carcinoma cells" Cell Growth & Differentiation. 9. 989-997 (1998)
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[Publications] Ohtani,K.et al: "Cell Growth-Regulated Expression of mammalian MCM5 and MCM6 Genes Mediated by the Transcription Factor E2F" Oncogene. (発表予定). (1999)
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[Publications] Ohtani,K.et al: "Regulation of cell growth-dependent expression of mammalian CDC6 gene by the cell cycle transcription factor E2F" Oncogene. 17. 1777-1785 (1998)