1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄疾患に伴う頭頚部痛の臨床検査学的解析及び実験的歯髄炎に伴う神経過興奮性の解析
Project/Area Number |
10470403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
砂川 光宏 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (30179288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 英明 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00114760)
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Keywords | Mustard oil / 実験的歯髄炎 / NMDA受容体 / 下行性抑制系 / 歯根膜神経 / 軸索反射 / 神経原性炎症 / 顎顔面痛 |
Research Abstract |
実験的歯髄炎の病態の変化に伴なう中枢ニューロンの応答性に関する神経生理学的研究では,ネコ頚髄下歯槽神経駆動ニューロンの応答性が犬歯歯髄のmustard oilによる実験的炎症により修飾を受け,その興奮性が増加することが確認された。そしてこの過程にはNMDA受容体が関与していることが明らかになった。同時に内因性オピオイドを介する下行性抑制系が駆動されて,同ニューロンの活動性が減弱すること示された。また,ラットに実験的歯髄炎を生じた場合には咀嚼筋の筋活動も変調を受け,この反射性筋活動には加齢的要素が影響を及ぼしていることが示された。また,この反射弓を形成している可能性のある網様体ニューロンの歯髄刺激に対する応答性も変調を来すことが示された。実験的歯髄炎の病態の変化に伴なう末梢神経系の反応性に関する神経生理学的研究では,ネコ下歯槽神経から分離した単一歯根膜支配神経の機械刺激に対する応答性は実験的歯髄炎がその歯根膜神経線維の分布している歯に生じると増強し,同神経に過敏化が生じることが示された。またある歯の歯髄に実験的歯髄炎を起こした場合には軸索反射を介した神経原性炎症により,隣在歯歯髄の血流も増加することが明らかになり,さらに隣在歯歯髄神経からも活動電位が記録できることが明らかとなった。歯髄疾患に伴なう顎顔面痛の臨床検査医学的解析では,口腔顔面部の表面温度,筋活動,並びに疼痛誘発点の計測を行った。しかし,臨床での症例から解析対象として適当な患者を抽出することは非常に難しく,次年度も研究の継続が必要であると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 石幡浩志ら: "象牙質知覚過敏症に対する知覚抑制材“MSコート"の臨床評価" 日本歯科保存学雑誌. 41(6). 1180-1186 (1998)
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[Publications] M.Sunakawa et al.: "NMDA antagonist MK-801 modulates cervical spinal cord responsiveness" J.Dent.Res.77(Special Issue B). 1007 (1998)
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[Publications] 松井泰成ら: "ラット脳幹網様体歯髄駆動ニューロンの応答性に対する歯髄侵害性化学刺激の影響" 歯科基礎医学会雑誌. 40(Supple). 471 (1998)
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[Publications] M.Sunakawa et al.: "Jaw electromyographic activity induced by application of algesic chemicals to the rat tooth pulp." Pain. (発表予定). (1999)
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[Publications] M.Sunakawa et al.: "Neurobiology of Mastication ‐‐ from Molecular to Systems Approach ‐‐" Elsevier Science B.V.(発表予定), (1999)
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[Publications] Y.Matsui et al.: "Neurobiology of Mastication ‐‐ from Molecular to Systems Approach ‐‐" Elsevier Science B.V.(発表予定), (1999)