Research Abstract |
歯科用局所麻酔薬A液(8万倍エピネフリン添加2%リドカインで,防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル,抗酸化剤としてピロ亜硫酸ナトリウムを加えたカートリッジ製剤)とB液(防腐剤は加えず,抗酸化剤として乾燥亜硫酸ナトリウムのみを加え,他の成分はA液と同じであるカートリッジ製剤)について,様々な保管条件における麻酔効果時間への影響について,ラットの歯髄刺激にともなう,体性感覚誘発電位(SEP)により評価した.A液とB液の2種類は,通常歯科診療室で保管する可能性のある場所を考慮して,(1)冷蔵庫内(平均4℃),(2)室温(23±2℃)遮光下,(3)室温蛍光灯下,(4)直射日光下,(5)30℃恒温器内(遮光)の5ヶ所に保管した.SEPは保管前(0ヶ月),保管後1,3,6,12ヶ月に測定された. A液では,冷蔵庫に保管した場合,いずれの保管期間でも,麻酔効果時間は180分であった.室温遮光下に保管した場合,6ヶ月後までは麻酔効果時間に短縮は認められなかったが,12ヶ月後には短縮し,140分となった.室温蛍光灯下に保管した場合の麻酔効果時間は,経時的に短縮し,6ヶ月後に110分,12ヶ月後には80分となった.直射日光下に保管した場合,麻酔効果時間は3ヶ月後には120分に短縮し,12ヶ月後では80分となった.30℃恒温器内に保管した場合には,麻酔効果時間は3, 6ヶ月後で150分,12ヶ月後では80分であった.B液では,冷蔵庫に保管したした場合,12ヶ月後も,麻酔効果時間は180分であった.室温遮光下に保管した場合,麻酔効果時間は3ヶ月後に130分に短縮し,12ヶ月後には80分となった.室温蛍光灯下に保管した場合には,麻酔効果時間は,3ヶ月後に140分,12ヶ月後には90分となった.直射日光下に保管した場合には,3ヶ月後には120分に短縮し,12ヶ月後では最短の50分となった.30℃恒温器内に保管した場合の麻酔効果時間は,3ヶ月後には90分に短縮し,12ヶ月後には80分となった. 現在,各保管条件でのエピネフリン濃度,pHへの影響を検討中である.
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