1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口腔扁平上皮癌における癌・間質相互作用に関する研究
Project/Area Number |
10470432
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中澤 光博 大阪大学, 歯学部・附属病院第2口腔外科, 講師 (70217701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 啓史 大阪大学, 歯学部・附属病院第2口腔外科, 医員
岩井 聡一 大阪大学, 歯学部・附属病院第2口腔外科, 医員
加藤 逸郎 大阪大学, 歯学部・附属病院第2口腔外科, 医員
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Keywords | squamous cell carcinoma / Tumor-fibroblasts interaction / E-Cadherin / HGF / invasion |
Research Abstract |
我々は、口腔扁平上皮癌患者より2種類の細胞IFおよびHOSOを樹立した。IF(高悪性)は、in vivoにおいて、肺転移およびリンパ節転移を示したのに対し、HOSO(低悪性)は、肺転移およびリンパ節転移をおこさないという特徴を有している。invitroにおいて、IFは細胞培養上清(CM)中にMDCK細胞をscatterさせる因子および細胞接着因子(E-Cadherin)を減弱させる因子を産生していた。IFの産生するscatter因子は、中和抗体を用いたscattering活性抑制実験より、TGF-αおよびTGF-βであることが判明した。一方、HOSOはCM中に、MDCK細胞をscatterさせる因子およびE-Cadherinを減弱させる因子を産生していなかった。また、IFまたはHOSOと線雑芽細胞(Fb)による共培養実験および抗HGF抗体を用いた実験から、IF細胞は自身の産生するTGF-αおよびTGF-βだけでなく、線維芽細胞(Fb)より産生されるHGFによりIF細胞の浸潤性はさらに増強されていることが明らかになった。また一方、HOSO細胞は線維芽細胞(Fb)より産生されるHGFにより浸潤性を示すことが明らかとなった。つまり癌細胞の腫瘍生物学的特性だけでなく、癌細胞と線維芽細胞との相互作用が浸潤能の獲得に極めて重要であることがわかってきた。来年度は、これらの現象がどのようなメカニズムで起っているのかを更に詳細に解明して行く予定である。
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[Publications] 中澤光博: "口腔扁平上皮癌再発症例における組織学的悪性度の変化について -外科療法と放射線療法の比較-" 頭頸部腫瘍. 24(1). 29-33 (1998)
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[Publications] Nakazawa M.: "Central acinic cell carcinoma of mandible Report of a case" Int,J.Oral Maxillofac.Surg.27(6). 448-450 (1998)