1998 Fiscal Year Annual Research Report
HIVおよびHTLV-I感染症における口腔病変の成因に関する研究-特に唾液腺細胞の特性について-
Project/Area Number |
10470435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安部 喜八郎 九州大学, 歯学部, 助教授 (20117055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 篤哉 九州大学, 歯学部, 講師 (00284521)
中村 誠司 九州大学, 歯学部, 講師 (60189040)
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Keywords | HIV / HTLV-I / パッチクランプ / T細胞 / シェーグレン症候群 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
これまでの研究により以下の結果を得た。 HTLV-I感染者に高率に発症する唾液腺障害について検討を加えたところ、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群に類似し、これらの患者の唾液腺内には多くのリンパ球が浸潤していた。分子生物学的手法によりその浸潤リンパ球について検討したところ、そのほとんどはHTLV-Iに感染したT細胞であることが判明した。さらに、それらT細胞が発現するT細胞レセプター遺伝子を解析したところ、特定のT細胞レセプター遺伝子を発現するT細胞が集積していることが示され、それらT細胞の一部はHTLV-Iに感染していないシェーグレン症候群患者の唾液腺内にも検出できた。これらの結果より、HTLV-I感染者では自己反応性T細胞がHTLV-Iに感染することにより活性化・増殖し、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の発生を惹起することが強く示唆された。 また、HTLV-I感染者の唾液腺組織そのものにも機能的異常があることも考えられるのでHTLV-I感染患者および正常人の小唾液腺を用い、パッチクランプ法にて各々の唾液腺細胞の特異性を解析中である。データの数が少なく未だはっきりしないが静止膜電位およびK^+の浸透性には差異がないと思われる。今後データの数を増やすとともに各種サイトカインに対するイオン透過性の差異を解析する必要がある。
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