2000 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル基質タンパクを用いた組織誘導による歯周組織再建に関する研究
Project/Area Number |
10470460
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
関口 一実 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30281380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋川 義宏 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (50297347)
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Keywords | エナメル基質タンパク / Guided Tissue Regeneration / 骨欠損 / 細胞性セメント質 / 無細胞性セメント質 |
Research Abstract |
実験動物として,ビーグル犬を用い,下顎左右側第2,3,4前臼歯部に全層弁を形成し,頬側近心根部にCEJより高さ7mm,近遠心幅5mmの範囲で歯槽骨を除去し,近心根を露出させ,頬側裂開型骨欠損を作製した。各骨欠損部には骨再生を阻止する目的でゴム質印象材を埋入した。4週間後,再び全層弁を形成し,ゴム質印象材および肉芽組織の除去,露出根面のルートプレーニングを行い,骨欠損最根尖側にノッチを付与した。その後,直ちに10%EDTA溶液で根面処理を施し生理食塩水で洗浄後EMD群はエナメル基質タンパク(EMDOGAIN【○!R】)を応用,GTR群はe-PTFE膜を各骨欠損部に被覆しGTRを行った。FOP群は通常のフラップ手術のみ行った。観察期間は術後,1,2,4週とした。実験期間終了後,通法に従いパラフィン標本を作製し,H-E染色および増殖細胞抗原(PCNA)の免疫組識化学染色を施し観察した。 結果として,術後1週では全群において豊富な新生血管を含む幼若な線維性結合組織がノッチ付近に限局してみられ,一部,凝血塊が残存していた。EMD群ではEMDOGAIN【○!R】の残留は認められなかった。術後2週ではGTR群はe-PTFE膜で被覆された骨欠損内に豊富な新生血管を含む線維性結合組織で満たされ,わずかに新生骨が認められた。一方EMD群およびFOP群では密な線維性結合組織束が歯根表面に存在し,新生骨は認められなかった。新生セメント質は全群で認められなかった。術後4週では新生セメント質はEMD群,GTR群は術前の2/3程度FOP群は術前の1/2程度認められた。新生骨はEMD群は術前の1/3程度,GTR群は術前の2/3程度認められ,FOP群はノッチ付近に限局してわずかに認められた。PCNA陽性細胞は術後1週では全群でノッチ付近に限局して認められ,特にEMD群がGTR群およびFOP群と比較して広範囲に認められた。術後2週および術後4週のPCNA陽性細胞は全群で新生骨梁周囲に分布し,各群同程度認められた。 以上より,エナメル基質タンパク質の応用はフラップ手術およびGTRと比較し,初期に残存歯根膜および母床骨付近の細胞を活性化させることで歯周組織再生に関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)