1999 Fiscal Year Annual Research Report
多様な細胞機能の制御におけるMAPキナーゼカスケードの役割
Project/Area Number |
10470485
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 長崎大学, 薬学部, 教授 (00027335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 理香 長崎大学, 薬学部, 助手 (60315265)
|
Keywords | ERK-MAPキナーゼ / 核移行 / 肝細胞増殖因子 / 細胞分散運動 / 神経成長因子 / 神経細胞分化 / p38MAPキナーゼ / MMP-9 |
Research Abstract |
今年度は様々なペプチド因子刺激に応答して活性化されたERK-MAPキナーゼの、各生理応答発現における具体的な役割を明らかにすべく、その細胞内局在性の変化に注目した。すなわち、MAPキナーゼ系の特異的遮断剤、PD98059、及びERK-MAPキナーゼに選択的に結合してそれを不活性化(脱リン酸化)するMKP-3遺伝子を利用し、また活性型ERK-MAPキナーゼに対する特異抗体を用いた免疫染色法等を駆使して解析を進め、以下の結果を得た。 1.肝細胞増殖因子(HGF)のMDCK細胞などに対する細胞運動性亢進作用の発現においては、刺激後2〜3時間にわたって活性化ERK-MAPキナーゼが核内に留まる必要があることを明らかにした。これは様々な増殖因子の細胞増殖作用の発現において、ERK-MAPキナーゼの活性化、核移行が一過性であることと対照的である。また、核内において活性化ERK-MAPキナーゼは様々な転写因子の機能制御を介して、最終的にMatrix metalloproteinase-9遺伝子の発現を亢進し、これが細胞分散運動誘導の一つの要因となっていることを見出した。 2.神経成長因子(NGF)のPC12細胞に対する神経様細胞分化誘導作用の発現においても、刺激後数時間にわたるERK-MAPキナーゼの活性化が必要であるが、ここではその核移行を選択的に阻害してもNGFの上記作用は影響を受けないことを見出した。これはNGFの神経栄養因子作用の発現において、活性化ERK-MAPキナーゼが細胞質で機能する可能性を示唆する。 3.NGFの神経栄養因子作用の発現においては、ERK-MAPキナーゼ系だけでなく、p-38MAPキナーゼ系が同時に活性化される必要があることを見出した。なお、活性化p38MAPキナーゼの核移行は認められなかった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Hoshino,R.: "Constitutive activation of the 41-/43-kDa mitogen-activated protein kinase signaling pathway in human tumors."ONCOGENE. 18巻. 813-822 (1999)
-
[Publications] Iwasaki,S.: "Specific activation of the p38 Mitogen-activated protein kinase signaling pathway and induction of neurite outgrowth in PC12 cells by bone morphogenetic protein-2"J.Biol.Chem.. 274巻. 26503-26510 (1999)
-
[Publications] Hattori,A.: "Bone morphogenetic protein-2 promotes survival and differentiation of striatal GABAergic neurons in vitro in the absence of glial cell proliferation"J.Neurochem.. 72巻. 2264-2271 (1999)
-
[Publications] Fuji,K.: "Synthesis of extremely simplified compounds possessing the key pharmacophore units of taxol,phenylisoserine and oxetane moieties"Chem.Pharm.Bull.. 47巻. 1334-1337 (1999)
-
[Publications] 星野理香: "ヒト癌細胞におけるMAPキナーゼ系の異常とその制御"生化学. 72巻(印刷中). (2000)