2000 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージスカベンジャー受容体の機能ドメインのモデル化と成人病予防策への応用
Project/Area Number |
10470494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 健史 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00211409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 武 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40028866)
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Keywords | マクロファージ / スカベンジャー受容体 / 細胞質ドメイン / フコイダン / LPS / NO産生 / リン酸化 |
Research Abstract |
細胞質ドメインの配列を有するモデルペプチドを合成し、このドメインと相互作用する3種の因子の単離に成功したが、このことを検証するために細胞質ドメインとGSTタンパク質との融合タンパク質を作成し、これと細胞中の3種の因子との相互作用を調べた(GST pull down assay)。その結果、いずれの因子も結合することを確認できた。さらに、3種の因子が細胞内で実際に相互作用しているか否かを調べるために、免疫沈降実験を行った。その結果、これら3種の因子は、いずれもスカベンジャー受容体を認識する抗体によって沈殿させることができ、細胞内で結合していることが確認できた。 スカベンジャー受容体を介するシグナル伝達についての検討を行なった。マクロファージ系の培養細胞にアセチルLDLや酸化LDLなどのリガンドを氷冷下で加え受容体に結合させた後、LPSやフコイダンなどのNOを発生させる物質を加え、37℃に加温してNO産生を調べた結果、フコイダンに依るNO産生がスカベンジャー受容体により誘導されている可能性が示唆された。LPSに依る産生も予想されたが、同じ細胞に発現されているCD14からの刺激が大きく、評価ができなかった。またHSP90に対する阻害薬を加えて調べた結果、NO産生に差が見られ、シグナル伝達にこの分子の関与が示唆された。 スカベンジャー受容体の細胞質ドメインのリン酸化について調べた。細胞質ドメインにはリン酸化されうる部位3ヵ所存在するが、これらの配列およびその周辺の配列を変えた受容体を作製し、リン酸化を調べた。その結果、N末端より16番目のセリンをアラニンに変換した受容体は、リン酸化を受けなくなることが判明した。今後この分子をドミナントネガティブ分子として用いることにより、スカベンジャー受容体を介するシグナル伝達機構の詳細を調べることが可能であり、今後の展開の手がかりを得ることができた。
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Research Products
(1 results)