Research Abstract |
本年度は,量子システム分析法の基礎となるべき,演算子の構築法と,複雑や曖昧さを扱うファジーシステムの有用性に関して研究した.最初に物理でのハミルトン演算子に相当する関数を定義する.つまり,要因Aに与える平均場をポテンシャル関数Ua,さらに運動エネルギーTaとすると,ハミルトン演算子Hは,H=Ta+Uaと書かれる.このハミルトニアンに量子力学での波動関数Φを作用させることで,系の発展を記述する.しかし,社会システムでは,データは必然的に曖昧さを含んでおり,量子力学的な波動関数は,ファジー波動関数として拡張される必要が生じた.このファジー波動関数密度は,調査によって得られたデータ数値に対応する.つまり,データ数値が分かれば,ポテンシャルが決定される.また,運動エネルギーに対応する項は,新たにファジー微分を定義することで,決めることが出来た.ファジー的決定法の変数変動に対するロバストを調べるために,ファジー推論による進路決定プログラムを作成した.さらに,喫煙と遺伝子GSTM1,GSTT1,NAT1,GSTP1及びNAT2との相関関連を推論した.これらの遺伝子(特にGSTM1)を持っていない人は,少量の喫煙でも,胃がんに成り易いことが,推定された.この結果の整合性を,他の統計的な分析法で検定を行ったところ,良い一致を見た.つまり,ファジー計算法は,ゆらぎに対してロバストであることが示された.
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