1998 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸トランスポーターを標的とした神経保護薬の開発
Project/Area Number |
10470508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松木 則夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70126168)
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Keywords | グルタミン酸トランスポーター / 神経栄養因子 / 神経保護 / グリア細胞 |
Research Abstract |
グルタミン酸は中枢神経における主要な興奮性の神経伝違物質であるが、過剰に存在すると神経毒性を示す。グルタミン酸受容体拮抗薬はグルタミン酸毒性を軽減できるが、脳高次機能発揮に必要なグルタミン酸の神経伝達にも影響してしまう。本研究ではシナプス可塑性に影響せずにグルタミン酸毒性のみを軽減する医薬品の開発を目指し、グリア細胞がもつグルタミン酸トランスポーターを作用点とした薬理学を展開することを目的とする。グルタミン酸トランスポーターの制御機構についてはほとんど解明されていないので、その点についても解析する。新生児ラットの大脳皮質および海馬からアストロサイトの培養細胞を調整し、放射標識したグルタミン酸を用いてグルタミン酸取り込みに対する各種栄養因子の効果を解析した。その結果、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)がグルタミン酸取り込みを促進することを見出した。この作用がグルタミン酸トランスポーターを介することを確認した。さらにノーザンブロットやウエスタンブロットによりbFGFがGLASTタイプのグルタミン酸トランスポーターの発現を増加させていることを明らかにした。培養アストロサイトではGLT-1タイプのトランスポーターはほとんど発現していなかった。これらの神経栄養因子の細胞内情報伝達機構を解析したところ、PI3キナーゼとRas-MAPキナーゼ系の関与が示唆された。また、IGFの作用機序がbFGFやEGFとは異なることが考えられた。今後はトランスポーターのキネティクスに影響する薬物の発見・解析を行っていく。
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