1998 Fiscal Year Annual Research Report
薬物のトランスポーター介在輸送に基づいた臓器移行性の制御
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10470510
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 郁巳 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10019664)
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Keywords | トランスポーター / モノカルボン酸 / H^+-輸送担体 / モノカルボン酸 / HCO3^--逆輸送担体 / 有機カチオン / H^+-逆輸送担体 / カルニチンNa^+-輸送担体 / 全身性カルチニン欠乏症 / JVSマウス |
Research Abstract |
本研究では、種々臓器に備わる薬物トランスポーター群の機能特性、組織分布性、多様性を分子レベルで解明することにより、薬物動態の新たな制御法の確立を試みる。今年度においては、有機アニオン、有機カチオン、ペプチド系薬物に対して働く生体側トランスポーター群の機構論的解析を行うことを目的とし、下記に示す結果を得た。 1. モノカルボン酸トランスポーターMCT1あるいはアニオ逆輸送体AE2の遺伝子発現細胞を用いて、両トランスポーターが安息香酸、ニコチン酸、プロピオン酸、酪酸、バルプロ酸などののモノカルボン酸系化合物をpH依存的に輸送することを実証した。 2. β-ラクタム抗生物質及びキノロン系抗菌薬については、胆管腔側細胞膜及び尿細管上皮細胞刷子縁膜におけるトランスポーターに対する誘導体間での親和性の差が、胆汁中あるいは尿中排泄に選択性を引き起こしていることを示した。β-ラクタム抗生物質の膜輸送を担うトランスポーターの実体としてNpt1の関与を示した。 3. 腎尿細管刷子縁膜における有機カチオン性化合物の輸送に関与するトランスポーターOCTNファミリーをクローニングすることに成功した。その遺伝子発現細胞を用いて機能解析を行った結果、OCTN2がNa^+依存性カルニチントランスポーターの実体であることを発見した。さらに、本トランスポーターの遺伝的変異が臨床上重篤な全身性カルニチン欠乏症の原因となることを、OCTN2遺伝子欠損マウスJVSおよび全身性カルニチン欠乏症患者家系の遺伝子解析と機能解析によって明らかにし、その成果をNature Geneticsに発表した、カルニチン欠損症ヘテロ、ホモ患者の診断・治療に貢献する業績となった。 次年度には、カルニチンの輸送と有機カチオンの分泌に働くトランスポーターOCTNファミリーのクローニングと発現細胞とOCTN2遺伝子欠損マウスにおける輸送機能解析を展開させる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Yabuuchi: "Possible role of anion exchanger AE2 as the intestinal monocarboxylic acid/anion antiporter." Pharm.Res.15・3. 411-416 (1998)
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[Publications] N.Hashimoto: "Gene-dose effect on carnitine transport activity in embryonic fibroblasts of jvs mice as a model of human carnitine transporter deficiency" Biochem.Pharmacol.55・10. 1729-1732 (1998)
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[Publications] I.Tamai: "Molecular and functional identification of sodium ion-dependent,high affinity human carnitine transporter OCTN2" J.Biol.Chem.273・32. 20378-20382 (1998)
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[Publications] H.Yabuuchi: "Hepatic sinusoidal membrane transport of anionic drugs mediated by anion transporter NPT1." J.Pharmacol.Exp.Ther.286・3. 1391-1396 (1998)
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[Publications] P.V.Balimanen: "Direct evidence for peptide transporter(PepT1)-mediated uptake of a nonpeptide prodrug,valacyclovir." Biochem.Biophys.Res.Commun.250・2. 246-251 (1998)
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[Publications] H.Sasabe: "Carrier-mediated mechanism for the biliary excretion of the quinolone antibiotic grepafloxacin and its glucuronide in rats." J.Pharmacol.Exp.Therap.284・3. 1033-1039 (1998)
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[Publications] J.Nezu: "Primary systemic carnitine deficiency is caused by mutation in a gene encoding sodium ion-dependent carnitine transporter" Nature Genet.21・1. 91-94 (1999)