1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10470511
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 有平 三重大学, 医学部, 助手 (30303720)
林 正晃 三重大学, 医学部, 助手 (80291417)
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
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Keywords | カルシウム感受性 / S100C / アクチン / 低酸素 / 血管収縮 |
Research Abstract |
細胞内カルシウムイオンは代表的な細胞内情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)として、細胞機能を調節していることは数多くの細胞応答において確立されている。細胞内カルシウム情報伝達機構の研究成果から細胞質カルシウム濃度と細胞応答の関係が、アゴニスト、アンタゴニスト、病態などの条件により変化すること、すなわち、カルシウム感受性制御機構の存在が示唆されてきた。我々はカルモデュリンのカルシウム感受性を減弱させる平滑筋弛緩薬を新しく見出し、世界で最初のカルシウムデセンシタイザーとして、その作用機序を分子レベルで解明した。さらに我々は独自の方法により新しいカルシウム結合蛋白質S100Cを精製、cDNAクローニングに成功し、その標的分子がアクチンであることを明らかにした。また、S100Cによるアクチン抑制作用はカルポニン、カルデスモンに匹敵しており、心血管系にも多く存在することから、カルシウム感受性制御機構に関与する可能性が示唆されている。我々はすでにS100C遺伝子の全構造を明らかにしており、そのプロモーター領域に低酸素応答配列を見出している。低酸素時には細胞内カルシウム濃度が上昇することが知られているが、血管収縮は必ず起こるわけではなく、その機序については詳しく解明されていない。我々はその機序の1つとしてS100Cを介したカルシウム感受性制御機構の関与を考えている。そこで本研究では、低酸素刺激によるS100Cの遺伝子発現変化を検討した。その結果、S100Cは低酸素刺激により遺伝子発現が上昇することが明かとなった。我々はさらにルシフェラーゼアッセイを行い、低酸素刺激によるS100Cの遺伝子発現上昇は、プロモーター領域に存在する低酸素応答配列を介した転写活性化によることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yuhei Nishimura: "Molecular Cloning and Characterization of Mammalian Homologues of Vesicle-Associated Membrane Protein-Associated(VAMP-Associated)Proteins" Biochem.Biophys.Res.Commun.254. 21-26 (1999)
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[Publications] Masaaki Hayashi: "Molecular Cloning and Characterization of Human PDE8B,a Novel Thyroid-Specific Isozyme of 3',5'Cyclic Nucleotide Phosphodiesterase" Biochem.Biophys.Res.Commun.250. 751-756 (1998)
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[Publications] Da-Yu Tian: "Overexpression of Caltractin Gene in Tumor-Infiltrating Lymphocytes" International Journal of Oncology. 13. 1135-1140 (1998)
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[Publications] Tomoaki Nakamura: "A unique exon-intron organization of a porcine S100C gene:close evolutionary relationship to calmodulin genes" Biochem.Biophys.Res.Commun.243. 647-652 (1998)
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[Publications] Terumasa Mino: "Two distinct actin-binding sites of smooth muscle calponin" European Journal of Biochemistry. 251. 262-268 (1998)
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[Publications] 鈴木秀謙: "RNAフィンガープリンティング法を用いた脳血管攣縮関連遺伝子の探索研究" 脳血管攣縮. 13. 272-276 (1998)
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[Publications] 田中利男: "21世紀の創薬科学(薬理ゲノム科学と創薬)" 共立出版, 18 (1998)
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[Publications] 田中利男: "よくわかるRDE3阻害薬の基礎と臨床(CAMPとPDE阻害薬の経緯およびPDEのアイソザイムとその分布)" Excerpta Medica, 11 (1998)