1998 Fiscal Year Annual Research Report
血小板抗体による胎児・新生児の血小板減少症についての研究
Project/Area Number |
10470515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 洋一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30010474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 孝喜 沖中記念成人病研究所, 研究員 (50171484)
津野 ネルソン 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50282637)
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Keywords | 血小板(HPA) / 血小板抗体 / 新生児血小板減少症紫斑病 / 血小板輸血不応答 |
Research Abstract |
血小板型(HPA:human platelet antigen)は現在、15種類確認されている。母児間に血小板型の不適合があると、妊娠中に母が児の血小板型抗原に対する同種抗体(抗血小板抗体)を産生し、新生児血小板減少症の原因になることがある。 本研究では多数の妊娠中の婦人(2万例以上)に対して2年計画でのprospectiveな研究を実施している。本年度がその最初の年で、これまでの結果は以下のごとしである。 検体数18062例 抗血小板抗体陽性数 182例(1.008%) 検出された抗血小板抗体の特異性 抗HPA-5b抗体 153例(84.1%) 抗HPA-4b抗体 22例(12.1%) 抗HPA-6b抗体 2例( 1.1%) 抗Nak抗体 3例( 1.6%) 抗HPA-4b+5b抗体1例( 0.5%) 未確定 1例( 0.5%) これらの抗体陽性例の中で新生児に紫斑の認められたもの2例(抗HPA-5b抗体と抗HPA-4b+5b抗体保有の各1例)、新生児に血小板減少症が認められたもの4症例(3例が抗HPA-5b抗体、1例が抗HPA-4b抗体保有)が確認された。 まとめ:妊娠中の婦人では高頻度(1%以上)に抗血小板抗体が産生されていることが分かった。抗体の特異性は抗HPA-5b抗体が圧倒的に多く、次いで抗HPA-4b抗体であった。臨床的には2例に紫斑が、4例に新生児血小板減少症が認められた。重篤な新生児血小板減少序を引き起こすとされる抗HPA-3a抗体はこれまでのところ検出されていない。
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