1998 Fiscal Year Annual Research Report
妊産婦・新生児の感染予防と看護サービスの質-A産院でのMRSA等の分析から-
Project/Area Number |
10470528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉下 知子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60010063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
法橋 尚宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60251229)
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Keywords | MRSA / 院内感染 / 妊産婦 / 新生児 / 病棟環境 / 耐性菌 / mecA遺伝子 / PFGE |
Research Abstract |
本研究では、健常乳児・非リスク産褥婦・産科病棟職員・産科病棟環境のMRSAを分離同定し、その保有率を求め一般社会に生活する母児へのMRSAの蔓延状況を推測することを目的とした。A産科病院病棟職員49名から294検体・妊産婦92名(平均29.88歳、SD=4.64)から252検体・1ケ月健診受診の母親と乳児(男児8名女児9名・平均在胎数278.9日、平均出産時体重3090.24g)65名から130検体・病棟環境から59検体、合計735検体を得た。mecA遺伝子は98株に検出、うち16株がコアグラーゼ凝集試験陽性、コアグラーゼ遺伝子を検出した。薬剤感受性試験ではセフェム系薬剤に対し9株が高い耐性・1株がイーグルタイプ・6株が感受性を示した。PFGEでは16株中4組8株が同一のパターンで、これらは「同一医師の2時点」「同一病棟看護職の1時点」「同一病棟産褥婦」「病棟環境と乳児」であった。またPCR法でmceA・mecl・mecR1は8株で全領域が、8株でいずれかの欠落部位が認められた。meclを有する12株中10株についてのシークエンスでは4株に異変を認めた。これらを総合し、高い薬剤耐性・イーグルタイプを示し、mec領域の欠落が軽微な10株(1.3%)を最終的なMRSAとした。これらは産科職員手指5検体(3.3%)・産褥婦手指1検体(0.5%)・産褥婦と乳児鼻腔2検体(1.0%)・病棟環境2検体(3.3%)であった。MRSAの分布に有意差は認めなかったが、病棟および病棟環境が最も高かった。今後は、感染防止対策状況とMRSAの保有状況について検討をすすめる予定である。
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