1999 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動と睡眠-覚醒リズムの関係-時間隔離法を用いて
Project/Area Number |
10480005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 義春 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (60251427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 博 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (60151619)
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Keywords | 身体運動 / 概日リズム / 同調・脱同調 / 睡眠 / 覚醒 / 自律神経 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトにおいて身体運動が睡眠-覚醒リズムの変調要因となりうるかを検証することであった。身体運動がヒトの睡眠-覚醒リズムを変調させるかとの問いに答える際、最も問題となるのは、通常の日常生活においては明暗サイクル・社会生活のリズムなどの物理的・社会的因子-非常に強力であるにもかかわらずコントロールが困難である-が身体運動の影響を隠蔽してしまうかも知れないということである。そこで本研究では、概日リズムの変調を起こすような明暗サイクルや時間情報を示す機器の一切ない部屋に被験者を住まわせるという「時間隔離実験」 を行い、概日リズムの異なった相で行う身体運動が、被験者の睡眠-覚醒リズムや自律神経活動の日内リズムに与える影響を観察することを目的とした。 第2年度である平成11年度においては、「被験者が身につける機器が多岐にわたり、そのことによって通常の日常生活が乱され、安定した概日リズムの把握が困難である。」との初年度の実験結果を勘案し、まず、心電図R-R間隔(心拍変動)、体動の長期モニタリングが可能な小型機器を作成、さらに、直腸温の連続測定が可能な小型データ・ロガーを導入した。これらの機器を用いて、十数名の被験者について、通常の日常生活中のデータを1〜2週間に渡り測定し、計測システムが安定して稼働することを確認、心拍、体動、および直腸温の概日リズムを正確に把握できるようにした。その後、4名の被験者について、時間隔離条件下で自由継続リズムの観察を行い、隔離実験室外の明暗・時間条件と被験者が固有にもつ体温等の概日リズムが容易に乖離することを確認した。また、さらに2名の被験者について、主観的な早朝に行った3時間の有酸素性運動(相当の疲労感をもたらす)が、その後の自由継続リズムにどのような影響を及ぼすかとの実験を行い、データは現在解析中である。このように、実験のセットアップ・ルーチン化がほぼ完全に終了したことを受けて、最終年度においては、早朝あるいは夕刻に行われる身体運動が、時間隔離下の自由継続リズムをどのように変調させるかについて大規模な調査を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Aoyagi N,Yamamoto Y,他: "Temporal contribution of body movement to very long-term heart rate variability in humans"American Journal of Physiology. (印刷中). (2000)
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[Publications] 山本義春: "心拍数の情報論〜フィールドの生理学に向けて〜"マイクロメカトロニクス. 43・4. 9-17 (1999)
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[Publications] 伴野晋司,山本義春,他: "長期心拍変動における身体活動の寄与-時間周波数解析を用いた検討-"生体・生理工学・シンポジウム論文集. 14. 183-186 (1999)
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[Publications] 山本義春,東郷史治,他: "心拍変動の起源をめぐって-最近の話題"Therapeutic Resarch. 20. 1416-1424 (1999)
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[Publications] 山本義春: "脳と心-水中と陸上でのヒト-"体育の科学. 49. 376-381 (1999)
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[Publications] 日高一郎,山本義春: "生体ゆらぎと神経系のダイナミックス"日本老年医学会雑誌. 36. 8-5 (1999)