2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の転倒の実態と身体特性との関連及びその予防に関する研究
Project/Area Number |
10480006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武藤 芳照 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10143330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 義春 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60251427)
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Keywords | 転倒 / 高齢者 / 骨折 / 健脚度 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
1)転倒と身体特性との関連 高齢者227名(47〜89歳、平均71.1歳:女性87.2%、男性12.8%)を対象に、身体特性を評価・測定した後、8週間の運動・生活指導を実践し、身体機能の変化を観察した。健脚度では、10m全力歩行時間は6.04±1.53から5.76±1.21秒に、最大一歩幅(下肢長当たり)は1.25±0.20から1.32±0.20に有意に向上し、40cm踏台昇降能力も有意に改善した。また、開眼単脚直立時間(右脚支持)も16.3±11.4秒から17.9±11.4秒に有意に向上した。つまり、介入により転倒回避能力としての運動機能が改善することが示された 2)バリアフリー型施設在住高齢者の身体特性 施設入居高齢者女性18名(平均80.7歳)と転倒予防教室参加女性20名(平均78.3歳)の計38名を対象に、身体特性を評価・測定したところ、健脚度では、教室群に比して施設群の方が有意に劣っていた。また、平衡機能としての重心動揺の指標も、施設群で有意に劣っていた。 3)結論 上記1)、2)を含む3ヵ年の調査研究の結果、高齢者は加齢に伴って、ごく普通の生活環境においても転倒しやすくなり、骨折発生の危険性が高くなること。その予防のための運動・生活指導が適切になされれば、身体機能を高めることができ、転倒の危険性を減少することができること。一方、バリアフリー型住宅に安住し、身体への働きかけがない場合には、身体機能が衰弱するため、むしろ転倒の危険性が増す可能性があることが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 奥泉宏康,黒柳律雄,武藤芳照,太田美穂: "転倒と骨折"Geriatric Medicine(老年医学). 38・11. 1614-1619 (2000)
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[Publications] 黒柳律雄,奥泉宏康,武藤芳照,太田美穂 他: "大腿骨頸部骨折の発生予防-転倒予防教室"骨・関節・靭帯. 13・7. 821-830 (2000)
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[Publications] 奥泉宏康,黒柳律雄,武藤芳照,太田美穂 他: "転倒予防教室における骨折経験者の特性."Osteoporosis Japan. 8・2. 65-68 (2000)
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[Publications] 小松泰喜,田中尚喜,武藤芳照,太田美穂: "施設入居高齢者の身体機能の特性-転倒予防の観点から-"日本老年医学会雑誌. 37・11. 908-911 (2000)