2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習者と日本語母語話者の談話能力発達過程の研究
Project/Area Number |
10480049
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
水谷 信子 明海大学, 外国語学部, 教授 (90190644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 良 秀明大学, 国際協力学部, 講師 (30306443)
佐々木 泰子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20251689)
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Keywords | 共話 / 言い切り発話 / 聞き手働きかけ発話 / 先取り応答 / 先取り完結 / リズム / 母語別特徴 / 通時的変化 |
Research Abstract |
1)初来日の台湾からの短期留学生9名と日本語母語話者との一対一の話し合いを、来日当初と五ヶ月後の2回収録し、水谷(1980)の共話の概念を用いて母語話者同士の話し合い(10組)と比較分析を行った。その結果、日本語母語話者の特徴とされる発話の共話的特質を、聞き手への働きかけ発話、話し手への協力発話という観点から数値的に明らかにした。また、学習者発話の「聞き手働きかけ」発話の比率は約半年後には66%へと増加し、同時に話し手の発話のみで完結する対話的な「言い切り発話」が減少していることがわかった。 このことについて、次のとおり研究報告を行った。 「日本語学習者の談話能力の発達-『対話』型から『共話』型へ」 大塚純子・藤井桂子(研究協力者)2000年度日本語教育学会秋季大会(10月8日) 2)日本語母語話者と外国人日本語学習者との会話をザトラウスキーの手法で分析してみることで、日本語母語話者同士の会話とのリズム上の違いを炙り出すと共に、学習者の通時的な変化の様相も明らかにした。今回は第一段階として、台湾(T)からと英語圏(E)からの学習者各1名の、日本人インタビューアー(K)との会話資料2回分を選び、日本人学生(J)のそれと比較した。その結果、Jにおいては、ザトラウスキーによる「日本語会話のリズムの特徴」のうち、3項目が当てはまった。K、Eの場合は、「相づち」および「繰り返し」の点でJとの違いが見られた。各人に通時的な変化が見られ、リズムの習得を表しているようである。TとEの母語別の特徴を検出するには至らず、今後の課題として残された。 このことについて、次のとおり研究報告を行った。 「接触場面における会話のリズム分析の事例報告」棚橋明美(研究協力者) 第五回日本研究・日本語教育国際シンポジウム(香港中文大学)(11月26日)
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大塚純子,藤井桂子: "日本語学習者の談話能力の発達-『対話』型から『共話』型へ"2000年度日本語教育学会秋季大会. 予稿集. 92-97 (2000)
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[Publications] 棚橋明美: "接触場面における会話のリズム分析の事例報告"第五回日本研究・日本語教育国際シンポジウム. プログラム. 72 (2000)