1999 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚皮質における音声特微抽出および音声認識機構の研究
Project/Area Number |
10480068
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
堀川 順生 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50114781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 陽子 東京電気大学, 理工学部, 教授 (00158122)
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Keywords | 聴覚皮質 / 音声情報表現 / 光学的計測 / 神経回路モデル / フォルマント / 活動伝播性 / 側抑制 / 音素 |
Research Abstract |
本研究では、皮質活動を時間的空間的に計測することができる光学的計測法と、2次元神経回路による聴覚皮質のモデル化の2つの方法を用いて、音素や音節の特徴抽出に関わる音声認識初期過程における聴覚皮質の情報処理機構について解析を行った。モルモットの一次聴覚皮質には音の周波数が規則的に表示(周波数局在)されており、純音に対する活動は皮質の特定の位置でバンド状に伝播していく。音素を形成する周波数変調音や純音の組み合わせに対する応答は、この周波数局在構造に現れる時空間的活動パターンとして表示されることが分かった。音声に含まれる高調波成分に対する活動は、互いに抑制性および興奮性の相互作用をおこし、聴覚皮質は単に周波数成分のみを表示しているものではないことも示された。また、途中に無音区間のある音に対する活動を調べると、5msより短い無音区間は活動の変化として現れてこないことも分かってきた。神経回路モデルでは、音素を構成する成分音の違いによる活動の伝播性の分岐特性について定量的に計算機実験を行った。音声を模擬した簡単化したフォルマント信号を入力信号として用い、複数フォルマントを入力した場合、各フォルマントを周波数一定にすると、入力開始のタイミングが異なってもある範囲で回路上伝播としては同期する。つまり入力のずれに安定に同時伝播として特徴を結合する能力があることがわかった。この結合性は、回路ユニットの隣接興奮と側抑制の範囲に大きく影響を受け、音声認識の安定性のためには側抑制範囲が隣接興奮の範囲より大きいことが望ましいことがわかった。これらの特性は、聴覚皮質が神経集団の時空間的活動特性として音素や音節の抽出に関わっていることを示唆する。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 堀川順生 他: "光学測定によるモルモット聴覚野の音刺激依存活動"生物物理. 215. 14-17 (1998)
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[Publications] Hosokawa,Y.et al.: "Anisotropic neural interaction in the primary auditory cortex of guinea pigs with sound stimulation"NeuroRep.. 9. 3421-3425 (1998)
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[Publications] Yamaguchi,Y.: "Dynamical Linking and Emergent Unification of Information,in"Toward a science of consciousness "Tucson III". 169. 91 (1998)
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[Publications] Yamaguchi,Y.,Kanzaka,F.et al.: "Bifurcation of Wave Propagation as a Base of Dynamical Linking in Auditory Recognition"The Fifth International Conference on Neural Informaion Processing. 1426-1429 (1998)
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[Publications] Horikawa,J.et al.: "Neural interaction in the auditory cortex : Gibbs and diffusion analysis of the optically recorded data"Neurosci.Res.Suppl.. 23. S225 (1999)
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[Publications] Sugimoto,S.et al.: "Spatiotemporal inhibition by two-tone sequences in the guinea pig auditory cortex"Neurosci.Res.Suppl.. 23. S224 (1999)
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[Publications] Y.Yamaguchi,J.Horikawa et al.: "Biophysical Neural Networks"Lateral inhibitory model for wave propagation in the auditory cortex (in press). (2000)