Research Abstract |
受け手の反応に応じて説明を進める動的説明生成法を明らかにするために,実際の説明対話の収集,説明対話の分析,動的説明のモデル化を進めた. 説明対話の収集については,前期に引続き,被験者の健康診断結果を医者が説明する対話の録音と書き起こしを進めた. 説明対話の分析に関しては,対話の主導権,反応の仕方,説明の仕方,発話の音調など,動的説明に係わる特徴の分析を進めた.対話の主導権については,対話のタスクとの関連を分析した.交通経路案内では主導権は階層的で,対話全般は情報要求者が主導し,個別の情報を聞いたり,説明する面では,説明者が主導する.反応の仕方については,重要情報との関連,情報要求者の知識との関連を分析した.また,会議室予約システムの対話実験について,システムの反応の仕方として,直接確認,間接確認,「はい」,最後にまとめて確認の各場合でどのように違いがあるか統計分析し,直接確認による反応が必ずしも非効率でないことが認められた.説明の仕方については,肝臓に関係する検査項目の説明に係わる単位として,検査値の提示,程度の説明,目的の説明などを医者と共同して整理した.音調については,地図説明対話を対象に,被験者が音が高くなると感じる箇所の基本周波数を分析しモデル化を進めた. 動的説明のモデル化については,健康診断結果の説明を対象に,検査項目の説明モデルとして,説明単位という概念を提案し,この単位により説明対話を構成する枠組を検討した.説明単位には階層性も与え,聞き手の反応に応じて,他の説明単位の説明に移ったり,説明が詳細化される.
|