1998 Fiscal Year Annual Research Report
経済学モデルを用いた広域ネットワークの資源割り当て
Project/Area Number |
10480071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 亨 京都大学, 情報学研究科, 教授 (20252489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八槙 博史 京都大学, 情報学研究科, 日本学術振興会特別研
西村 俊和 京都大学, 情報学研究科, 助手 (00273483)
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Keywords | 市場モデル / 消費者エージェント / 生産者エージェント / 現在・未来モデル / 利用者選好 / ネットワーク資源割り当て / マルチメディア通信 / Free Walk |
Research Abstract |
人のコミュニティの中で,相異なる要求をもった構成員がコンピュータネットワークを利用する際に,それらの要求をよりよく反映し,かつ限りあるネットワーク資源を有効に利用するための手法として,ミクロ経済学で提案されてきた価格調整機構をベースとしたものを提案した.具体的には利用者の選好(preference)を代表する消費者エージェントと,アプリケーションプログラムやその下部システムによってネットワーク資源から利用者へのサービス品質(アプリケーションQoS)が生成される過程を代表する生産者エージェントとを定義し,これらが自分の利益を最大にするような入札をくりかえすことで,無駄のない割り当てを達成するというものである.本研究では3次元仮想空間を用いたデスクトップ会合システムFreeWalkをその応用の場として,市場モデルの構築,割当て機構の挙動のシミュレーションによる解析,およびその実装における動作性能の解析を行った.FreeWalkの特徴として,3次元仮想共有空間内での利用者の位置関係によって,各通信リンクに対する利用者の選好が異なってくることが挙げられる.利用者が移動することによる位置関係の変化を,通信に対する選好の動的変化ととらえ,従来は主に静的な割当てのためのものであった市場モデル中に,「現在」と「未来」という二つのカテゴリを設けてそれらの間での取り引きを許すことで,この動的変化を資源割当てに反映させた.これらについてシミュレーションによる実験評価を行った結果,3次元仮想共有空間内で互いに近くにいる利用者の間での通信により多くの帯域の割当てが行われ,利用者選好に基づくネットワーク資源の割当てが達成されていることが確認された.また,利用者を移動させた場合の割当ての変化から,現在-未来というモデル化が正しく機能していることが確認された.
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[Publications] 八槙 博史: "市場モデルに基づくアプリケーションQoS制御の実装" 1998年度人工知能学会全国大会(第12回)論文集. 583-586 (1998)
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[Publications] Hirofumi Yamaki: "Implementation Issues on Market-Based QoS Control" International Conference on Multi-Agent Systems(ICMAS-98). 357-364 (1998)
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[Publications] 八槙 博史: "市場モデルに基づくアプリケーションQoSの制御" 電子情報通信学会論文誌 J81-D-1. NO.5. 540-547 (1998)