1999 Fiscal Year Annual Research Report
低濃度HD分子のレーザ熱レンス分光による測定法の開発
Project/Area Number |
10480116
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎田 洋一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40168795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 登 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70293652)
山本 一良 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50023320)
|
Keywords | 同位体分離 / 水素同位体 / レーザー / 熱レンズ / 分光 / 赤外 / 低濃度分析 / HD |
Research Abstract |
アンリツ製1.382μmInGaAsP系DFB型半導体レーザを精密に温度制御することにより発信振動数を制御し,モル分率で93.1〜97.4%のHDガス(他はH_2およびD_2)を光路長0.8mのシングルパスセルに1〜100torrの圧力だけ封入した試料を通過する際の熱レンズ効果による半導体レーザの広がりを測定した. 半導体レーザの発信波長をHerzbergらが1950年に報告しているHD分子の2-0バンドのR(1)枝が観測される7241.82cm^<-1>付近で制御し,1.4〜110kHzの周波数変調をかけるとともに,焦点距離0.15mの凹面鏡を用いてシングルセル内に焦点を結ばせる熱レンズ分光装置を試作した.熱レンズ分光装置では,HD分子の圧力(分圧)に応じた大きさの半導体レーザの広がりが生じ,この半導体レーザの広がりを検出することにより,HD分子の分圧を測定する.半導体レーザの広がりは,ピンホールを用いてビーム中心部分だけを切り出した後にレーザエネルギーを受光素子で検出し,ロックインアンプを用いて信号処理した. 昨年度の研究により,同一の半導体レーザを光源とする場合,マルチパスセルを用いる通常の吸光度法での検出限界が分圧20torr,シングルパスセルを用いる熱レンズ分光装置の検出限界が分圧2〜3torrであり,天然の水素の同位体存在比にあるHD分子の分圧である0.2torrを測定することが難しいことがわかっていた.このため,0.001torr以下の圧力まで排気された参照側シングルパスセルに対しても,同時に同一の測定を行い,ロックインアンプの差信号をとることで,試料による熱レンズ信号の大きさとして評価に用いた.この結果,0.2torr程度までのHD分子の検出が可能となり,天然の水素の同位体存在比にあるHD分子の分圧までのHD分子の検出が可能であることがわかった.
|