1999 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による染色体異常誘発を制御するチェックポイント遺伝子の検索
Project/Area Number |
10480135
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
達家 雅明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50216991)
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Keywords | X線 / 染色体異常 / 培養哺乳類細胞 / 遺伝子クローニング / 細胞周期 / 分裂期 / AIM-1遺伝子 / セリン・スレキニンキナーゼ |
Research Abstract |
遺伝子の分離・分配過程を担う分裂期(M期)は短時間の内にダイナミックな変化を示すので,そこには異常の有無をたえずモニターするチェックポイント機構が存在し,染色体異常の出現を巧妙に防止しているものと考えられる。そこで本研究では,M期チェックポイント遺伝子をスクリーニングし,その機能を解析することにより放射線による染色体異常誘発機構を明らかにすることを試みる。 昨年度において一部報告したように,我々がクローニングしたラットM期制御遺伝子AIM-1をプローブとしてヒトcDNAライブラリーをスクリーニングしたところ,2種のセリン・スレオニンキナーゼをコードする遺伝子が分離できた。一つは既にSTK6やBTAK/STK15,Aik,aurora2,ARK1として登録されている遺伝子と同一のものであり,もう一方は分子量が39,000で344個のアミノ酸からなるヒトAIM-1であった。ヒトAIM-1 cDNAをプローブとしてnorthern blot解析を行った結果,ヒトがん細胞ではAIM-1が共通して高発現していることがわかった。またこの遺伝子を正常ヒト線維芽細胞にトランスフェクトして高発現させると多核化した細胞が出現することから,AIM-1はM期制御を通して染色体の安定性に関与しているものと思われる。しかし,X線照射してもAIM-1の発現量は変わらず,また不活型AIM-1(K/R)遺伝子導入細胞においてもX線照射による特異的な変化は観察されなかったことから,AIM-1はその量的変化よりもむしろシグナル因子として機能する可能性が示唆された。次に,今回クローニングした2種の遺伝子について,種々のヒトがん組織を用いて発現量を比較検討した。その結果,AIM-1はヒト大腸がんの悪性化に伴って高発現するのに対して,STK6の発現はがんの悪性度に依存しないことから,両者は異なったレベルでヒト発がんに関与していることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroshi Katayama: "Mitotic kinase expression and colorectal cancer progression."Journal of the National Cancer Institute. 91巻13号. 1160-1162 (1999)
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[Publications] Hidehiko Kawai: "Molecular cloning of mouse thioredoxin reductases"Gene. 242巻. 321-330 (2000)