2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による染色体異常誘発を制御するチェックポイント遺伝子の検索
Project/Area Number |
10480135
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
達家 雅明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50216991)
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Keywords | 細胞周期 / 分裂期チェックポイント / 染色体不安定性 / 培養哺乳類細胞 / H3ヒストン / 遺伝子導入 / AIM-1 / 放射線 |
Research Abstract |
過去2年間の研究において、ヒトcDNAライブラリーより2種のセリン/スレオニンキナーゼをコードする遺伝子(ラットAIM-1のヒトホモローグ及びSTK15)をクローニングするとともに、X線応答性の遺伝子Xik1の分離にも成功した。本年度は、AIM-1の機能解析を中心に解析を行った。 まずAIM-1の機能を調べるために、酵母Two-hybrid法を用いてAIM-1と結合する因子をスクリーニングした。多くのポジティブに反応する遺伝子をスクリーニングした結果、AIM-1と結合するタンパク質として染色体の動原体に結合するCENP-Eが同定できた。CENP-Eは染色体分配に加え、その後の分裂期制御に重要な働きを果たしていることが知られているので、AIM-1はCENP-Eを介して機能しているものと思われたが、意外にもCENP-Eに対してAIM-1はキナーゼ活性を示さなかった。一方、最近IpL1/auroraファミリーがヒストンH3をリン酸化することが報告された。そこで次に、10番目のセリンがリン酸化したヒストンH3に特異的な抗体を用いて、AIM-1発現とヒストンH3リン酸化との関係について調べた。既に報告したように、AIM-1はG2期から発現しはじめ、M期において最も高い発現量を示すが、ヒストンH3のリン酸化の細胞周期依存性はAIM-1の発現変化とよく対応することがわかった。興味あることに、染色体の数的変化や多核化しているヒトがん細胞ではAIM-1が高発現し、ヒストンH3のリン酸化も他の細胞に比べて高い値を示した。これまでの研究において、AIM-1は分裂期の進行を制御する重要な分裂期チェックポイント因子であることを証明してきたが、本研究により、その過剰発現はヒストンH3の高レベルのリン酸化を引き起こし、その結果として染色体の不安定性を誘起することがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 達家雅明: "低レベル放射線被曝による胸線細胞のアポトーシス誘発過程における2型サイクリン依存的キナーゼ活性化現象"長崎医学会雑誌. 75. 291-293 (2000)
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[Publications] 数藤志帆: "M期チェックポイント・キナーゼScMPS1結合タンパクScMOB1のヒト・ホモローグの解析"長崎医学会雑誌. 75. 294-296 (2000)
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[Publications] 矢島浩彦: "熱ショックタンパク質とBcl-2ファミリータンパク質によるapoptosomeの制御"放射線生物研究. 35・4. 358-369 (2000)
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[Publications] Maki Murata-Hori: "Myosin II regulatory light chain as a novel substrate for AIM-1, an aurora/Ipl1p-related kinase from rat."Journal of Biochemistry. 128. 903-907 (2000)
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[Publications] Akira Kawasaki: "Downregulation of an AIM-1 kinase couples with megakaryocytic polyploidization of human hematopoietic cells."Journal of Cell Biology. 152. 275-287 (2001)
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[Publications] Takahide Ota: "Functional suppression of integrin β4-mediated adhesion caused by in vivo sequential selection for cancer cell intravasation."Anticancer Research. 21. 36-45 (2001)
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[Publications] 達家雅明: "肝転移と遺伝子(肝転移-メカニズムと臨床)"医学書院(磨井正義 編). 14 (2000)