2000 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶氷晶への酸性物質取り込み能力の実験的研究-オゾンホール発達機構への応用-
Project/Area Number |
10480138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 義純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20113623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 辰雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001844)
横山 悦郎 山口大学, 工学部, 助教授 (40212302)
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Keywords | 氷結晶 / 一方向成長法 / 界面不安定 / 平衡分配係数 / 実質分配係数 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
一方向成長装置により、氷/水界面の成長にともなうパターン発展と界面付近での不純物濃度分布を測定するため、マッハツエンダー干渉計によりその場観察を行った。結晶成長を開始すると界面では不安定が発生し、やがて等間隔の指状パターンが生成される。この指状パターンの隣接した結晶の境界面は結晶粒界と見なして良い。干渉計による観察では、結晶の成長とともに界面近傍での溶液内で干渉縞が曲がる。 すなわち、これは界面付近の不純物濃度が結晶の成長とともに上昇したことを示している。不純物は、界面から溶液に向かって拡散するため、界面近傍には濃度分布が生じたのである。 このような界面近傍の定量的な濃度分布に測定から、界面における不純物濃度が定量的に決定した。その結果、界面濃度は、氷/水界面が平らな形状を保ったままで成長している間は、結晶の成長にともない界面から排斥される不純物量と拡散により界面から溶液内に移動する塩分量が完全に一致することが確かめられた。すなわち、界面が安定(平ら)で、結晶粒界が存在しないときには、界面での不純物の質量は保存される。 しかしながら、氷/水界面が不安定化し、界面形状が結晶粒界を多数含む指状パターンになると、界面から拡散する不純物の量が界面で排斥される不純物の量より圧倒的に小さいことが見いだされた。すなわち、このことは、不純物の一部は界面に存在する結晶粒界に取り込まれたために、見かけ上の分配係数が大きくなったことを検証したことになる。 本実験でKCIを不純物モデルとして使用し、見かけ上の不純物の分配係数(実質分配係数)を求めると0.35の値をとることが明らかになった。
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[Publications] K.Nagashima and Y.Furukawa: "Interferometric observation of gravity effect on the horizontal growth of ice crystals in a thin growth cell."Physica. D147. 177-186 (2000)
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[Publications] M.Maruyama, T.Satoi, S.Taniguchi, M.Kawamura, S.Kodera, Y.Kishimoto and Y.Furukawa: "X-ray analysis of the structure of premelted layers at ice interfaces."Jpn.J.Appl.Physics. 39. 6696-6699 (2000)
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[Publications] 古川義純,長島和茂: "氷結晶の成長と結晶パターン形成"応用物理. 4月号(印刷中). (2001)