1998 Fiscal Year Annual Research Report
泥炭湿原における維管束植物の茎内流が地下水位微変動に及ぼす影響
Project/Area Number |
10480139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町村 尚 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30190383)
倉茂 好匡 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (20241383)
橘 治国 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90002021)
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Keywords | 高層湿原 / 地下水位微変動 / 茎内流 / 蒸発散量 / 不飽和層土壌水分 / 比産水率 / 日射量 / 地下浸透量 |
Research Abstract |
平成10年4月から9月まで、北海道樺戸郡月形町にある北海道学術自然保護区、月ヶ湖湿原において、深さ60cmまで遮水壁を埋設した一辺3.5mの方形区(処理区)と自然のままの対照区を設けた。両区において地下水位計・地表面変動計・土壌水分計を用いて地下水位と不飽和層土壌水分の精密な観測を行うとともに、両区に隣接した気象観測地点では全天日射量、気温、降水量の観測を行った。また、高層湿原の代表的維管束植物であるヤチヤナギを対象に茎内流の自記観測を行った。なお、観測の途中において6日間と2日間、処理区全体に不透明のシートをかぶせ、光を遮断し蒸発散を抑制する処理を行って処理区における地下浸透量を精密に測定し、地下水位変動から地下浸透量を差し引いて、不飽和層、植物層の水分挙動による地下水位変動(有効地下水位変動)を求め解析に供した。得られた結果は次のごとくである。 (1)有効地下水位変動は日中に負の値を示し、その日変化は日射量変化に比較的よく対応したが、位相は2時間程度遅れていた。(2)有効地下水位変動は日没ころから正に転じ、不飽和層・植物層からの水分供給があることが示唆された。(3)ヤチヤナギの茎内流は日中に上昇流を示し、その流量変化は日射量とよい対応を示した。(4)茎内流が夜間に下降流を示す現象が見られたが、夕方に上昇流から下降流に変わる時期、早朝に下降流から上昇流に変わる時期は、有効地下水位変動の負から正、正から負に変わる時期とほぼ一致し、両者の関連性が示唆された。(5)不飽和層の体積含水比の日中の変化は有効地下水位変動に先行する傾向が見られたが、確認は今後の課題である。
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