1999 Fiscal Year Annual Research Report
泥炭湿原における維管束植物の茎内流が地下水位微変動に及ぼす影響
Project/Area Number |
10480139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町村 尚 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30190383)
倉茂 好正 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (20241383)
橘 治国 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90002021)
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Keywords | ハンノキ林 / 低層湿原 / 蒸散流 / 蒸発散量 / 蒸発散能 / 地下水位微変動 / 日射量 / 地下浸透量 |
Research Abstract |
平成11年6月から11月まで、北海道東部の釧路湿原内のハンノキ林において、辺長8mの方形区の周囲に深さ1mの鉄製遮水板を埋設して、横浸透を防いだ処理区を設け、その方形区から20m西に離れた地点を自然のままの対照区とした。両区の中央部に地下水位計と地盤変動計を設置し、地下水位の微細変動を測定した。また、処理区の東1.5kmの高層湿原内の設けた気象観測ステーションでは、気温・湿度・日射・降水量・風向・風速・地下水位・地盤変動をあわせて観測した。ハンノキにはさらに樹幹内の蒸散流を測定する装置をつけ、蒸散流と蒸発散量の対応を調べた。なお、地下水位の微変動の解析は前年度と同様に、実地下水位減水深から地下浸透による減水深を差し引いた有効地下水位変動を用いた。得られた結果をまとめると次のごとくとなる。 有効地下水位変動は日中に負の値を示したが、前年度の高層湿原における結果と同様に蒸発散によるものと言える。(2)有効地下水位変動は日没後はほとんどゼロに近い値で推移し、高層湿原で見られた夜間における不飽和層・植物層からの水分補給現象は見られなかった。(3)ハンノキの蒸散流は9月10日から8日間観測したが、午前中に急激に上昇し午後からややゆっくり下降する傾向を示した。その挙動はニセアカシアや湿原のヤチヤナギで得られた蒸散流変動パターンとはかなり異なっていた。(4)夜間における蒸散流は日にちの経過とともに徐々に大きくなったが、計測上の誤差と考えられる。
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