2000 Fiscal Year Annual Research Report
泥炭湿原における維管束植物の茎内流が地下水位微変動に及ぼす影響
Project/Area Number |
10480139
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町村 尚 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30190383)
倉茂 好正 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (20241383)
橘 治国 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90002021)
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Keywords | ハンノキ林 / 低層湿原 / 蒸散流 / 蒸発散量 / 蒸発散能 / 地下水位微変動 / 日射量 / 地下浸透量 |
Research Abstract |
平成12年度はサロベツ湿原から採取してきた泥炭土壌を1/2000アールの栽培試験用ポットに不撹乱のまま採取し、北海道大学地球環境科学研究科屋上で地下水位観測を連続して行った。その結果、月ヶ湖湿原あるいはサロベツ湿原、釧路湿原の現地で観測された夜間における地下水位の微上昇現象は見られなかった。このことはポット試験を行った場所が比較的乾燥し風も強い建物の屋上であったことが原因と考えられる。このことは夜間においてもかなりの蒸散(地下水位の低下)が起きていたことから推察される。同様な実験を北大農場内で行った結果では、十分な降雨があり、地下水位が地表近くに達した後は夜間にも急激な地下水位低下がみられたが、数日経過して地下水位が20cm前後に低下すると、夜間から朝にかけて地下水位の微上昇が観察されている。ポット試験において湿原植生からの蒸散流の測定を試みたが、測定に適した維管束植物が十分に生長しなかったため、計測は行えなかった。しかし、降雨直後の夜間に地下水位が低下する現象はミズゴケの体内あるいは微小間隙に地下水から水が供給されると言うモデルで説明が可能であった。類似の現象として植物による雨水吸収現象をアオダモで測定した結果、蒸散流の30%におよぶ量の下向きの樹幹流成分が認められた。このことは平成10年度に実施したヤチヤナギに対する茎内流測定で夜間に下向きの茎内流が認められたことを支持する結果と言える。平成10年度に実施した泥炭湿原での遮水枠試験において、枠内外の地下水位挙動について一方からの流出過程をTheisの揚水理論に基づき解をもとめた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hidenori Takahashi: "Effect of sap flow in plants on small rise of ground water level during night in the mire"Chemical, physical and biological process in peat soils. 55-56 (1999)
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[Publications] Tarou Tsuboya: "Effect of pore structure on redistribution of subsurface water in Sarobetsu Mire, Nothern Japan"Journal of Hydrology. (In printing). (2001)